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世界観

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世界観コラム ─ 解説!惑星クレイ史
第2章

有史以前 ~「虚無(ヴォイド)」そして「重なり合う世界」~

中村聡

◆全ては「虚無」から生まれた

惑星クレイの歴史を語る前に、惑星クレイと地球が属する世界の成り立ちについて触れるべきだろう。惑星クレイの歴史は、世界の危機に抗う戦いの歴史であり、その危機を招いた原因の多くが、この「世界の成り立ち」に起因しているからである。

神話において、世界の成り立ちは様々だ。創世の巨人の死体から山河が作られたり、巨大な象や亀の背中に世界が乗っていたりする。同様に表現するならば、世界は「虚無(ヴォイド)」から生まれたと言うべきだろう。

全ての色を混ぜて真っ黒になった大量の絵の具に満たされた巨大な水槽を想像して欲しい。それが虚無だ。虚無とは無限のエネルギーを持ち、全ての可能性を内包する、全ての世界の母となる存在である。

そして、全ての世界は虚無から生まれる。あらゆる可能性を持つがゆえに、あらゆる可能性を実現できない虚無。その中から、あるひとつの可能性を選択した時、世界が生まれる。無限の海に浮かぶ小さな泡のように、個々の世界は、独自の法則と歴史を抱いて漂うのだ。

無限の質量を持つ虚無と比較して、世界はあまりにも儚い。虚無は、ただひとつの可能性をつかもうとあがく小さな世界を、最も自然な姿である虚無に還そうとする。虚無は世界の法則に則って、その世界を滅ぼそうとするのだ。

◆重なり合う運命

とても珍しい世界があった。それは、別の世界とほとんど重なり合うように生まれ、その結果として「世界の在り方」や「運命」が絡み合ってしまった。2倍の「運命力(デザインフォース)」を持つ稀有の世界は、その強さ故に、虚無という名の滅亡を引きつけた。

この「重なり合う世界」こそ、惑星クレイと地球が存在する2つの世界である。

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