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世界観コラム ─ 解説!惑星クレイ史
第4章

創世竜紀 ~神格「始祖創世竜」と科学文明の興亡~

中村聡

◆始祖創世竜の息吹

100億年前、惑星クレイに大きな変化が現れる。神格の源「クレイズイデア」から、史上初の神格「始祖創世竜」が誕生したのである。「始祖創世竜」の加護はあまねく広がり、惑星クレイに多種多様な生命と進化をもたらした。

最初に生まれた知的生命体は「始祖創世竜」によく似た姿を持つ種族、ドラゴンであった。神話に近い記録によれば、まず6体の原初竜が生まれ、後にそれを起源とする無数のドラゴンが生まれたとされている。


ドラゴンに続いて様々な種族が生まれ、それぞれが独自の進化を重ねた。そして一部の種族は高度な知性と文明を育み、ついには2つの国家を作り上げた。ドラゴンたちが築き上げた「ドラゴニア」と、動植物や昆虫など多様な生物が集まる国家「ズー」である

その後、この2大国家の時代に変化が訪れるには、約50億年の時を要した。そして50億年前、ヒューマンを始めとする新しい種族が次々と生まれ、若く野心的な新種族による小国家が乱立したと記録されている。

◆科学文明の興亡

乱立した小国のひとつで、惑星クレイの文明を劇的に発展させる事件が発生した。南極大陸の永久凍土の下から異星文明の遺跡が発掘されたのである。遺跡の研究を通じて、科学文明は急速に発展し、ついには月ロケットや人工衛星の打ち上げをも実現している。

月面に到着した惑星クレイの住人は、そこで異星生命体と思われる存在とのファーストコンタクトを体験している。残念ながら、「エトランジェ」と名付けられた異星生命体との意志疎通には失敗し、異星文明との接触は一旦途絶えてしまったようだ。

しかしその数百年後、今度は別の異星文明からコンタクトがあり(※)、継続的な交流が開始されている。異星文明側は様々な星系が所属する組織であり、その求めに応じる形で星間犯罪防止に協力する条約が締結された。この条約に基づく相互協力組織が基盤となり、惑星クレイ最古の「クラン」が誕生する。後の「ディメンジョンポリス」である。

(※)このコンタクトに先駆け、あるクレイの少年が異星の英雄と出会い、彼の戦いに協力したことが交流につながったという伝承がある。

科学文明の発展に伴う食糧生産量の拡大により、惑星クレイの人口は急速に増加。乱立していた小国は、増えた国民を養うべく、国土や資源を求めて紛争を繰り返すようになる。その結果として、この時期に兵器や軍需産業が著しく発展したようだ。

この状況においても、「ドラゴニア」は常に別格とも言える広大な領土を保持しており、高い国力と軍事力を維持し続けていたことが推測される。

この時期、もう一つの大国「ズー」に関する興味深い記録がある。高い科学技術を持つインセクトの犯罪結社が、改造怪人の開発に成功したという記録である。その性能は極めて高く、「メガコロニー」を名乗るこの犯罪クランは、国境を越えて猛威を振るったようだ。

国際紛争や犯罪結社の暗躍を踏まえてなお、この時代は惑星クレイの黄金期のひとつと考えられる。数十億年に渡って最大のリスクである虚無の干渉がほとんどなく、生命の進化や文明の発展に注力できた貴重な時代だったからだ。

だがその栄華もついに終焉を迎えた。神格「始祖創世竜」が役目を終え、「クレイズイデア」に還ったのだ。その加護が失われた影響だろうか、科学文明を支え続けてきた資源が枯渇し、国家や人口、さらには文明そのものを維持することすら難しい時代が到来している。

惑星クレイはその苦難にどう抗い、その末にいかなる実りを得ていくだろうか。次章は、新たな時代に花開く、多種多様なクランの幕開けにスポットライトを当ててみよう。

>>第5章