ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」
天使2人に悪魔1人。
広げる翼は白と黒。空は青、眼下を通り過ぎるドラゴニア海もまた青。
季節は夏である。
水面ぎりぎりを飛ぶ3人は、遠目には季節外れの渡り鳥のように見えたかもしれない。
「どこに向かっているのだ」
零の運命者ブラグドマイヤーが問うた。
事情を知らぬ者が聞けばその声はひどく陰鬱に感じられるが、実際にはブラグドマイヤーの知的好奇心の強さと興味を示す範囲の広さは、医師と医師の卵が終日かかりきりになっても追いつかない程だ。
「グレートネイチャー総合大学。ズーガイア大陸の中央に位置するストイケイア国の学府」
奇跡の運命者レザエルが答えた。落ち着いた理性的な調子である。
「世界最高の学者が集まる所です。前にも協力してもらった事があるんですよ」
大望の翼ソエルが補足した。育ちの良さを感じさせる素直で誠実な性格が窺える声。ソエルはブラグドマイヤーにいつも丁寧な説明を心がけている。
──!
接続を知らせる音が鳴った。
レザエルの懐の水晶玉、定時リモート会議の開始時間を告げるアラームである。
3人は密集隊形を組んで、飛行を続けながら会話に参加した。
「あー、聞こえますか。……聞こえてるんだろ、ソエル!」
「聞こえてるよ、アルダート」
熱気の刃アルダートの声に、笑いをこらえながらソエルは答える。
2人だけならば日頃、修行の進み具合から今日の天気、晩ご飯のおかずまで、例え大陸の端と端にいてもまるですぐ横にいるような気分になるほど頻繁に通信し合っている仲だが、運命大戦終結を期に新設された『運命者チャンネル』の当番となると、本来の天衣無縫はどこへやらガチガチに緊張してしまうのがアルダートである。
「全員そろったようなので始めます」
飛行中のこちら側と違って、地上で師匠に付き従うアルダートは水晶玉を固定して、出席者全員を画面で展開しながらモニターできている。
「レザエルだ。移動中で申し訳ないが、私から報告と相談をさせてもらいたい」とレザエル。
「よう!奇跡と零のご一行。返還の旅も順調みたいじゃん」
さっそく標の運命者ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”こと、CEOヴェルストラが軽快に呼びかけた。
「報告とは零の虚の後始末のことか」
「そうだ、ヴァルガ」
レザエルは無双の運命者ヴァルガ・ドラグレスに答えた。一度は命懸けで剣を交えた天使と竜。医師と剣客、対局ともいえる業を背負いながら互いを認め合う心友の間柄である。
「虚に閉じ込められていた最後の獣も昨日、ドラゴンエンパイアの浜に返し終えた」
「ご苦労様でした」
万化の運命者クリスレインはレザエル、ブラグドマイヤー、ソエルを心から労った。
零の虚がもたらした被害を理解し、それを償うことはブラグドマイヤーをレザエルが保護監督する国際合意の第一条件であり、ブラグドマイヤー自身にとっても大事な学びの機会である。
「これで里山には怒れる猛獣が戻り、民は怯え、狩人が忙しくなるわけだ。実にめでたい」
禁忌の運命者ゾルガ・ネイダールは皮肉たっぷりに返した。声には張りがあり、半身を失ったダメージからもすでに復活を遂げているらしい。
「……まぁ、僕が思うにそれこそ自然の摂理、運命力の均衡がとれた世界であると思うけれど」
いきなり人称と口調が変わったのは横に控えた副長に睨まれたからなのか。
「それで相談というのは、レザエル?」
リモートの向こう側、おそらくリグレイン号の船長室で繰り広げられている擦った揉んだを慇懃に無視して、リリカルモナステリオ導きの塔の主クリスレインが本題に引き戻した。
「我々運命者の起こりだ」
「あー。皆が体験したって言うあの光と声ね」
とヴェルストラ。彼とリィエル゠アモルタは他の運命者とは違う成り立ちで“運命者”となっている。
「運命大戦が、運命者同士が出会うことで運命力を傾け合うこと、であることは理解できたが、根本的な謎が残っている」
「オレたちが誰に、なぜ選ばれ、どうして鬩ぎ合わなければいけなかったのか」
ヴェルストラがずばりと言った後、オフぎみで「ペルフェ、データをリンクしてくれ」と指示する声が聞こえた。どうやら、そんな事もあろうかと準備をしていたらしい。9割すっとぼけた事を言っていても核心のひと言で全部持っていく、ヴェルストラは会議の達人なのだ。
飛行するレザエル一行の目の前にも映像が投影される。これは水晶玉の機能のひとつである。
「皆の証言を分析した、ウチのスタッフによれば、運命者と運命力の初期配置はきれいに国家ごと地域ごとにバランスが取れていた」
図は惑星クレイ全図を国家ごとに色分けしたもの。この星に住む者の多くが見慣れた地形であり、国々だ。
「主要ポイントの配置にはバヴサーガラの監修をもらってる。こっちのチャンネルにも入ってくれば良いのにって誘ったんだけど『運命者の連携とバランスを崩す可能性がある介入は、どんな些細なことでもすべきではない』だってさ、バヴサーガラは」
「律儀ですね。彼女らしい」
とクリスレイン。導きの塔の主と封焔の巫女は旧知の仲である。
「そーなのよ、クリスレインちゃん。そうして歴史を裏から見つめ支える封焔と導きの塔、史上最強の美女2人!もー跪いちゃうよ、オレ」
ちゃん付けについて反論の隙を与えず、紳士的に強制ミュートしておいてヴェルストラは続けた。
「で?今、それを議題にあげるのには意味があるんだろう、レザエル」
あぁ。ここでレザエルは応えかけて3人ともが雨雲に入り、それを抜けるまで沈黙した。受ける側も多少のラグや騒音では動じない。リモート慣れしている。
「中断すまない。続ける。ブラグドマイヤーと語るうちに、ふと思いついたことがある。我々を選んだ者が誰であるにせよ、その狙いとは運命者を邂逅・衝突させるだけではなく、運命力を極限まで集中させ高めること、そして選ばれた一人に今後の世界を選択する《在るべき未来》を掴み取らせることにあったのではないか、と」
「《在るべき未来》」
ヴァルガが唸った。最強であり続けることを至上とする彼にとって、現在こそが全てなのだ。あえて言えば“最強であり続ける現在が無限に続くこと”が、ヴァルガにとっての壮絶な《在るべき未来》だと言えるのかもしれない。
「君がいった言葉だ、ヴェルストラ」とレザエル。
「うん。《在るべき未来》は“卵”の中にいた……リィエルから聞いた言葉だ。リィエルは、お前が身を退くことで“未来”が変わると信じていたんだよな。彼女の《在るべき未来》はレザエルと2人きりで世を捨て、自らの死で傷つけたお前の心を癒す暮らしだった。……いやぁ聞いて泣いたよ、オレ。なんて佳い人なんだって」
レザエルの前でリィエルの名を発するときにほんの少しためらいを見せる辺り、無茶無理無謀で知られるヴェルストラが実は繊細な思いやりを持つ人間である証拠であり、人に好かれ頼られる所以なのだろう。
「……」
ソエルは心配げに目線で、ブラグドマイヤーはもっとはっきりとレザエルに尋ねた。この会議で初めての発言である。
「リィエルのことは聞いた。彼女は今どこにいるのだ」
「それは誰にもわからない、ブラグドマイヤー。君を滅ぼすことなくこの世界へと導いたのが、私の選択したこの未来なのだとすると」
一同はレザエルの次の言葉を待った。
「リィエルが、もう一人の自分であるリィエル゠アモルタとして誕生することのない時間軸に我々はいる。つまり……彼女とはおそらく永遠に会うことはない。この世界にあるのは私が修復したリィエルの亡骸だけ」
「俺のせいか」
ついこの前までは赤子同然だったブラグドマイヤーも、急速に“察する”ことを覚え始めてきている。
他人の気持ちを察すること、つまり共感性とは高度に社会的な能力だ。虚から彼を救出して以来、レザエルとそしてソエルが、ブラグドマイヤーから絶え間なく放たれる、世界や人に対する根本的な問いに辛抱強く何度でも答え続けて来た甲斐は確かにあったといえよう。
「いいや、ブラグドマイヤー。君のせいでは無い。時空間の掟からするとむしろこれこそが正しい状態とも言える。君の半分が過去の私であるように、リィエル゠アモルタの半分は未来の私なのだ。説明は複雑にならざるを得ないが」
「理解している。運命力とギアクロニクルの遺跡に眠っていた力が起こした奇跡現象だ。レザエルのためにギアクロニクル以外では稀な、時間を超えた旅人となって過去にあたるこの時間軸に出現した。お前の命を救うためだけに」
「そうだ。だから彼女への想いの全てを告げ、私が命存えたあの戦いの後、間違いなく、彼女は満足してこの世から離れた。それは立ち会わなくても分かる」
「……」
「愛とはそういうものだ。起こったことはどれほど受け容れがたくても、彼女の想いは私の中で生き続け、彼女のあの微笑みは私の心に焼き付いている。永遠に」
リモート会議に長い沈黙が落ちた。
ミュートになっていないのはヴァルガだけ。無双は深編み笠に手を掛けて、2000年の時を超えた愛の物語に深い敬意と哀悼の意を表すことはあっても、ヴェルストラのようにむせび泣くようなことは決してないのだ。
「……レザエル。そして皆さん。実はこの機会にお伝えしたいことがあります」
微かに涙を払う様子を声ににじませながら、リリカルモナステリオ導きの塔の主が切り出した。
「ワイズキューブはご存じですね」
「レザエルに教えてもらった。ストイケイア国の至宝。同じ名前の大賢者ストイケイアの遺産にして彼の叡智と思想の結晶。意思ある予知宝具だ」
「よくできました」
クリスレインは教授たちの長らしく、称賛をこめてブラグドマイヤーを認めた。リリカルモナステリオの生徒ならずとも小躍りしたくなる名調子である。
「私はストイケイア師に教えを受けた者として、アクセス権をもっている数少ない一人──もちろんこの事実は運命者チャンネルでもなければ軽々しく口に出せませんけれど──、そのワイズキューブから我々運命者に当てた託宣を預かっています」
「それはいつ?」とレザエル
「つい先ほどの事です。恐らくワイズキューブは我々のリモート会議の時刻まで計算に入れたのでしょう」
「やった!記録していいかな?」
「最高機密ですので却下。これからお話しすることは我々の記憶にしか留めてはいけません、ヴェルストラCEO」
わぁ今度は厳しいほうの先生だ……とヴェルストラは小声で呟いてミュートに戻った。
Illust:ひと和
クリスレインは報告を続けた。
「ワイズキューブの予知、未来予測は曖昧なものや抽象的なものが多いのですが、今回は指向性の強いメッセージとなっています。私とマグノリア王も驚きをもって注視している内容です」
ワイズキューブのアクセス権者としてストイケイア国レティア大渓谷の主、樹角獣王マグノリアの名を出したのは意図的なものなのだろう。それはケテルサンクチュアリのオラクルシンクタンク、紡縁の魔法ペララムの予言が同国防衛省長官バスティオンによって、運命者チャンネルに共有されるのと同じ理由だ。そしてゾルガがストイケイア国の2つの旧領のひとつメガラニカを代表する運命者だとするならば、もう一翼である旧ズー領の最も力ある領主はマグノリアである。なにより樹角獣の王の助力が期待できるというのは、運命者たちにとっては心強い知らせである。
「ですから敢えて分析はせずに、そのままお伝えします」
マグノリア以外のミュートメンバーは息を殺して、その言葉のすべてを聞き漏らすまいと耳を澄ませている。
『零の旅の行方、朱の霧のかなたに彼を待つ者あり』
レザエルとブラグドマイヤー、ソエルは顔を見合わせた。
『標、秤の憤りに備えよ。それは北より来たる』
ブリッツセクレタリーペルフェは、執務室でだらしなく机に脚を投げ出していたヴェルストラが突然、かっと目を見開いたのに驚いた。
『禁忌、聖都にて守護の剣が待つ』
ゾルガは、“また何かやらかしたの?今度こそ天誅食らうの?”と肘で突いてくる副長ヘンドリーナをだるそうに手で振り払った。
そしてこの私、とクリスレイン。
『万化、至高の座を懸け競うべし』
クリスレインは深い嘆息をついた。それは永遠のアイドルである彼女だけが知る重みだったのかもしれない。
そして──。
ヴァルガ、あなたにも。ですがこれはあくまで予測ですのでとクリスレインは前置きした。
それは強者と知れば探しに飛び出していかざるを得ない剣士に対する牽制だったのか。実際、無双の運命者ヴァルガ・ドラグレスに対する託宣はここまでで最も平易かつ直接的な言葉で、ヴァルガを瞬時に殺気立たせた。
『無双は最強の挑戦を受けるであろう』
善かろう。
ヴァルガは低く呟き、近くで跪いていたアルダートと轟炎獣カラレオルを湧きあがる剣気で凍りつかせた。
「それで終わりか」「レザエルのは無いのか」
と沈黙を終了とみてレザエルが尋ね、ブラグドマイヤーが続いた。
確かに零のブラグドマイヤー、標のヴェルストラ、禁忌のゾルガ、万化のクリスレイン、そして無双のヴァルガと5人の運命者には託宣があったが、先の運命大戦でもっとも運命力を集めるに至ったレザエルには無い。
「託宣は必ずしも吉兆とは限らない。私に無いのは僥倖かもしれない」
ソエルの何か言いたげな様子と、ブラグドマイヤーがまた言葉にしてくれたことに対する、これがレザエルの返答だった。
「いいえ、レザエル。ごめんなさい」
「あなたが謝ることはない。導きの塔の主クリスレイン」
「そうではありません。もっとも重要な最後の託宣があるのです。でも、どう伝えれば良いか……」
レザエルはもう岸が見えてきたズーガイア大陸の前で、飛行を止めた。ブラグドマイヤーとソエルがそれに続く。
「どうかためらわずに、聞いたままを伝えて欲しい」
「……」
「私は医者だ。あるものを正しく受け取ってそれに対処することには慣れている。それがどんな困難な怪我や病気であろうとも」
それでしたら。とクリスレインは答えたものの、沈黙は聴く者が不安になるほどまだ続いていた。
「言えばいい」
ミュートが解かれたのはレザエルの水晶玉。声はブラグドマイヤーだった。
「レザエルは俺をこの世界に引き上げ、目を開き、生きる術を教えてくれた。彼は強く、柔軟だ。信頼できる」
わかりました。クリスレインは意を決したように口を開いた。
「あなたへの託宣はもっとも謎めいて、そして強いものです」
「聞かせてくれ」
リリカルモナステリオが誇る伝説のアイドルの声が、すべての水晶玉を震わせた。
『汝らが出会うのは宿命者。運命力を懸ける闘争が始まる。奇跡よ、今こそ時の怒りと罪の深さを知れ!』
運命者たちは凍りついた。
そしてレザエルは、まだ正午にもかかわらず、自らが飛んできた自由なる蒼穹が朱に染まり、この奇跡と零の一行の前にはっきりとした敵意をにじませながら狭まってくるのを、確かに感じたのだった。
Illust:タカヤマトシアキ
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《今回の一口用語メモ》
奇跡と零の旅──零の虚の後始末
歴史をさかのぼれば古代より、未曾有の災害や侵略者、世界征服の野望に燃える存在の脅威にさらされてきた惑星クレイ世界だが、世間を騒がせた当事者自身がその後の処理を行う例はほとんど聞かない。
その稀な例のひとつが今回語る「ブラグドマイヤーの後始末」である。
先に行われた運命大戦とは『“何らかの目的”のために“何者か”に選ばれ、それぞれ膨大な運命力を付与された運命者同士が邂逅し、その運命力を互いに傾け合う』ことだったが、その終盤、惑星クレイ全体を危うく(文字通り)無に帰するところだったのが零の運命者ブラグドマイヤーと、彼が生み出した零の虚だ。
零の虚はあらゆる物を取り込む「運命力の渦」。ブラグドマイヤーの誕生(ダークステイツにある世界中の悲しみが降り積もる沼から彼は生まれたのだ)以来、その規模と力を増大させ続けてきた。
運命者の運命力を集めたレザエルと彼を待ち受けたブラグドマイヤーの決戦(そして未来からやってきた時の運命者リィエル゠アモルタの出現と消失)をもって運命大戦は終結、零の虚は停止し、騒動は終息を迎えることとなった。
当然ながらここで問題になったのが、ブラグドマイヤーと零の虚をどう扱うか、という事だ。
ブラグドマイヤーは生まれてからの単純な時間計算ではまだ“幼児”であり、本人は飢えを満たしたいという衝動のままに振る舞ったにせよ、確かに大きな被害は及ぼしたのだから。
そして結果から言うと、ブラグドマイヤーはレザエルの保護下におかれ、その償いと教育をかねて彼の旅に加わることになった。
この解決法を提示したのはレザエルと、彼を強く支持する運命者たちだった。
レザエルはブラグドマイヤーとの邂逅(と勝利)の際に、生まれてから沼と虚しか知らなかったブラグドマイヤーを現実世界へと引き上げることを約束し、それを実行したことになる。
一方で、ブラグドマイヤーに対する懸念を解消するために、各国政府や有力者に働きかけたのが他の運命者たちである。幸い、ストイケイアの至宝ワイズキューブにも通じ実質リリカルモナステリオの先導的な立場でもあるクリスレインや、自身が有力者の一人でもあるヴェルストラ、各国に隠然とした影響力をもつゾルガも運命者であり、何より「惑星クレイの歴史でも稀な運命力の持ち主である運命者たちが協力して責任を負う」という事で、奇跡と零の旅が決定となった。
こうして始まった旅は現在、閉じ込められた生物を元の住み処へと返還する作業がようやく終了した段階である。そして零の虚自体もまたその活動を停止している。
旅のもう一つの目的であるブラグドマイヤーの(現実世界と共に生きる仲間に対する)学びについて、良き教師であり良き医師として長い年月、実績を重ねてきたレザエルの監督の下、順調に進んでいるようだ。
零の虚については
→ユニットストーリー136運命大戦第10話、および《今回の一口用語メモ》
また
ユニットストーリー139運命大戦第13話~141運命大戦第15話を参照のこと。
ブリッツCEOヴェルストラこと標の運命者ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”が他の運命者と違い、時の運命者リィエル゠アモルタと深い関わりがあったことについては
→ユニットストーリー131運命大戦第6話、132運命大戦第7話、137運命大戦第11話~139運命大戦第13話を参照のこと。
運命大戦の事後処理については
→ユニットストーリー141 運命大戦第15話および《今回の一口用語メモ》躍進の騎士 アゼンシオルのレポートも参照のこと。
ケテルサンクチュアリのケテルエンジン、オラクルシンクタンクと紡縁の魔法ペララムの予言については
→ユニットストーリー148「紡縁の魔法 ペララム」を参照のこと。
ヴェルストラの秘書ペルフェについては
→ユニットストーリー073「ブリッツセクレタリー ペルフェ」を参照のこと。
ゾルガとヘンドリーナについては
→ユニットストーリー008「継承の乙女 ヘンドリーナ」
→ユニットストーリー009「ハイドロリックラム・ドラゴン」
→ユニットストーリー054「混濁の瘴気」
→ユニットストーリー087「戯弄の降霊術師 ゾルガ・マスクス」
→ユニットストーリー097「六角宝珠の女魔術師 “藍玉”」
→ユニットストーリー125「禍啜り」
→ユニットストーリー134「禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール」
→ユニットストーリー136「 禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール II 《零の虚》」を参照のこと。
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広げる翼は白と黒。空は青、眼下を通り過ぎるドラゴニア海もまた青。
季節は夏である。
水面ぎりぎりを飛ぶ3人は、遠目には季節外れの渡り鳥のように見えたかもしれない。
「どこに向かっているのだ」
零の運命者ブラグドマイヤーが問うた。
事情を知らぬ者が聞けばその声はひどく陰鬱に感じられるが、実際にはブラグドマイヤーの知的好奇心の強さと興味を示す範囲の広さは、医師と医師の卵が終日かかりきりになっても追いつかない程だ。
「グレートネイチャー総合大学。ズーガイア大陸の中央に位置するストイケイア国の学府」
奇跡の運命者レザエルが答えた。落ち着いた理性的な調子である。
「世界最高の学者が集まる所です。前にも協力してもらった事があるんですよ」
大望の翼ソエルが補足した。育ちの良さを感じさせる素直で誠実な性格が窺える声。ソエルはブラグドマイヤーにいつも丁寧な説明を心がけている。
──!
接続を知らせる音が鳴った。
レザエルの懐の水晶玉、定時リモート会議の開始時間を告げるアラームである。
3人は密集隊形を組んで、飛行を続けながら会話に参加した。
「あー、聞こえますか。……聞こえてるんだろ、ソエル!」
「聞こえてるよ、アルダート」
熱気の刃アルダートの声に、笑いをこらえながらソエルは答える。
2人だけならば日頃、修行の進み具合から今日の天気、晩ご飯のおかずまで、例え大陸の端と端にいてもまるですぐ横にいるような気分になるほど頻繁に通信し合っている仲だが、運命大戦終結を期に新設された『運命者チャンネル』の当番となると、本来の天衣無縫はどこへやらガチガチに緊張してしまうのがアルダートである。
「全員そろったようなので始めます」
飛行中のこちら側と違って、地上で師匠に付き従うアルダートは水晶玉を固定して、出席者全員を画面で展開しながらモニターできている。
「レザエルだ。移動中で申し訳ないが、私から報告と相談をさせてもらいたい」とレザエル。
「よう!奇跡と零のご一行。返還の旅も順調みたいじゃん」
さっそく標の運命者ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”こと、CEOヴェルストラが軽快に呼びかけた。
「報告とは零の虚の後始末のことか」
「そうだ、ヴァルガ」
レザエルは無双の運命者ヴァルガ・ドラグレスに答えた。一度は命懸けで剣を交えた天使と竜。医師と剣客、対局ともいえる業を背負いながら互いを認め合う心友の間柄である。
「虚に閉じ込められていた最後の獣も昨日、ドラゴンエンパイアの浜に返し終えた」
「ご苦労様でした」
万化の運命者クリスレインはレザエル、ブラグドマイヤー、ソエルを心から労った。
零の虚がもたらした被害を理解し、それを償うことはブラグドマイヤーをレザエルが保護監督する国際合意の第一条件であり、ブラグドマイヤー自身にとっても大事な学びの機会である。
「これで里山には怒れる猛獣が戻り、民は怯え、狩人が忙しくなるわけだ。実にめでたい」
禁忌の運命者ゾルガ・ネイダールは皮肉たっぷりに返した。声には張りがあり、半身を失ったダメージからもすでに復活を遂げているらしい。
「……まぁ、僕が思うにそれこそ自然の摂理、運命力の均衡がとれた世界であると思うけれど」
いきなり人称と口調が変わったのは横に控えた副長に睨まれたからなのか。
「それで相談というのは、レザエル?」
リモートの向こう側、おそらくリグレイン号の船長室で繰り広げられている擦った揉んだを慇懃に無視して、リリカルモナステリオ導きの塔の主クリスレインが本題に引き戻した。
「我々運命者の起こりだ」
「あー。皆が体験したって言うあの光と声ね」
とヴェルストラ。彼とリィエル゠アモルタは他の運命者とは違う成り立ちで“運命者”となっている。
「運命大戦が、運命者同士が出会うことで運命力を傾け合うこと、であることは理解できたが、根本的な謎が残っている」
「オレたちが誰に、なぜ選ばれ、どうして鬩ぎ合わなければいけなかったのか」
ヴェルストラがずばりと言った後、オフぎみで「ペルフェ、データをリンクしてくれ」と指示する声が聞こえた。どうやら、そんな事もあろうかと準備をしていたらしい。9割すっとぼけた事を言っていても核心のひと言で全部持っていく、ヴェルストラは会議の達人なのだ。
飛行するレザエル一行の目の前にも映像が投影される。これは水晶玉の機能のひとつである。
「皆の証言を分析した、ウチのスタッフによれば、運命者と運命力の初期配置はきれいに国家ごと地域ごとにバランスが取れていた」
図は惑星クレイ全図を国家ごとに色分けしたもの。この星に住む者の多くが見慣れた地形であり、国々だ。
「主要ポイントの配置にはバヴサーガラの監修をもらってる。こっちのチャンネルにも入ってくれば良いのにって誘ったんだけど『運命者の連携とバランスを崩す可能性がある介入は、どんな些細なことでもすべきではない』だってさ、バヴサーガラは」
「律儀ですね。彼女らしい」
とクリスレイン。導きの塔の主と封焔の巫女は旧知の仲である。
「そーなのよ、クリスレインちゃん。そうして歴史を裏から見つめ支える封焔と導きの塔、史上最強の美女2人!もー跪いちゃうよ、オレ」
ちゃん付けについて反論の隙を与えず、紳士的に強制ミュートしておいてヴェルストラは続けた。
「で?今、それを議題にあげるのには意味があるんだろう、レザエル」
あぁ。ここでレザエルは応えかけて3人ともが雨雲に入り、それを抜けるまで沈黙した。受ける側も多少のラグや騒音では動じない。リモート慣れしている。
「中断すまない。続ける。ブラグドマイヤーと語るうちに、ふと思いついたことがある。我々を選んだ者が誰であるにせよ、その狙いとは運命者を邂逅・衝突させるだけではなく、運命力を極限まで集中させ高めること、そして選ばれた一人に今後の世界を選択する《在るべき未来》を掴み取らせることにあったのではないか、と」
「《在るべき未来》」
ヴァルガが唸った。最強であり続けることを至上とする彼にとって、現在こそが全てなのだ。あえて言えば“最強であり続ける現在が無限に続くこと”が、ヴァルガにとっての壮絶な《在るべき未来》だと言えるのかもしれない。
「君がいった言葉だ、ヴェルストラ」とレザエル。
「うん。《在るべき未来》は“卵”の中にいた……リィエルから聞いた言葉だ。リィエルは、お前が身を退くことで“未来”が変わると信じていたんだよな。彼女の《在るべき未来》はレザエルと2人きりで世を捨て、自らの死で傷つけたお前の心を癒す暮らしだった。……いやぁ聞いて泣いたよ、オレ。なんて佳い人なんだって」
レザエルの前でリィエルの名を発するときにほんの少しためらいを見せる辺り、無茶無理無謀で知られるヴェルストラが実は繊細な思いやりを持つ人間である証拠であり、人に好かれ頼られる所以なのだろう。
「……」
ソエルは心配げに目線で、ブラグドマイヤーはもっとはっきりとレザエルに尋ねた。この会議で初めての発言である。
「リィエルのことは聞いた。彼女は今どこにいるのだ」
「それは誰にもわからない、ブラグドマイヤー。君を滅ぼすことなくこの世界へと導いたのが、私の選択したこの未来なのだとすると」
一同はレザエルの次の言葉を待った。
「リィエルが、もう一人の自分であるリィエル゠アモルタとして誕生することのない時間軸に我々はいる。つまり……彼女とはおそらく永遠に会うことはない。この世界にあるのは私が修復したリィエルの亡骸だけ」
「俺のせいか」
ついこの前までは赤子同然だったブラグドマイヤーも、急速に“察する”ことを覚え始めてきている。
他人の気持ちを察すること、つまり共感性とは高度に社会的な能力だ。虚から彼を救出して以来、レザエルとそしてソエルが、ブラグドマイヤーから絶え間なく放たれる、世界や人に対する根本的な問いに辛抱強く何度でも答え続けて来た甲斐は確かにあったといえよう。
「いいや、ブラグドマイヤー。君のせいでは無い。時空間の掟からするとむしろこれこそが正しい状態とも言える。君の半分が過去の私であるように、リィエル゠アモルタの半分は未来の私なのだ。説明は複雑にならざるを得ないが」
「理解している。運命力とギアクロニクルの遺跡に眠っていた力が起こした奇跡現象だ。レザエルのためにギアクロニクル以外では稀な、時間を超えた旅人となって過去にあたるこの時間軸に出現した。お前の命を救うためだけに」
「そうだ。だから彼女への想いの全てを告げ、私が命存えたあの戦いの後、間違いなく、彼女は満足してこの世から離れた。それは立ち会わなくても分かる」
「……」
「愛とはそういうものだ。起こったことはどれほど受け容れがたくても、彼女の想いは私の中で生き続け、彼女のあの微笑みは私の心に焼き付いている。永遠に」
リモート会議に長い沈黙が落ちた。
ミュートになっていないのはヴァルガだけ。無双は深編み笠に手を掛けて、2000年の時を超えた愛の物語に深い敬意と哀悼の意を表すことはあっても、ヴェルストラのようにむせび泣くようなことは決してないのだ。
「……レザエル。そして皆さん。実はこの機会にお伝えしたいことがあります」
微かに涙を払う様子を声ににじませながら、リリカルモナステリオ導きの塔の主が切り出した。
「ワイズキューブはご存じですね」
「レザエルに教えてもらった。ストイケイア国の至宝。同じ名前の大賢者ストイケイアの遺産にして彼の叡智と思想の結晶。意思ある予知宝具だ」
「よくできました」
クリスレインは教授たちの長らしく、称賛をこめてブラグドマイヤーを認めた。リリカルモナステリオの生徒ならずとも小躍りしたくなる名調子である。
「私はストイケイア師に教えを受けた者として、アクセス権をもっている数少ない一人──もちろんこの事実は運命者チャンネルでもなければ軽々しく口に出せませんけれど──、そのワイズキューブから我々運命者に当てた託宣を預かっています」
「それはいつ?」とレザエル
「つい先ほどの事です。恐らくワイズキューブは我々のリモート会議の時刻まで計算に入れたのでしょう」
「やった!記録していいかな?」
「最高機密ですので却下。これからお話しすることは我々の記憶にしか留めてはいけません、ヴェルストラCEO」
わぁ今度は厳しいほうの先生だ……とヴェルストラは小声で呟いてミュートに戻った。
Illust:ひと和
クリスレインは報告を続けた。
「ワイズキューブの予知、未来予測は曖昧なものや抽象的なものが多いのですが、今回は指向性の強いメッセージとなっています。私とマグノリア王も驚きをもって注視している内容です」
ワイズキューブのアクセス権者としてストイケイア国レティア大渓谷の主、樹角獣王マグノリアの名を出したのは意図的なものなのだろう。それはケテルサンクチュアリのオラクルシンクタンク、紡縁の魔法ペララムの予言が同国防衛省長官バスティオンによって、運命者チャンネルに共有されるのと同じ理由だ。そしてゾルガがストイケイア国の2つの旧領のひとつメガラニカを代表する運命者だとするならば、もう一翼である旧ズー領の最も力ある領主はマグノリアである。なにより樹角獣の王の助力が期待できるというのは、運命者たちにとっては心強い知らせである。
「ですから敢えて分析はせずに、そのままお伝えします」
マグノリア以外のミュートメンバーは息を殺して、その言葉のすべてを聞き漏らすまいと耳を澄ませている。
『零の旅の行方、朱の霧のかなたに彼を待つ者あり』
レザエルとブラグドマイヤー、ソエルは顔を見合わせた。
『標、秤の憤りに備えよ。それは北より来たる』
ブリッツセクレタリーペルフェは、執務室でだらしなく机に脚を投げ出していたヴェルストラが突然、かっと目を見開いたのに驚いた。
『禁忌、聖都にて守護の剣が待つ』
ゾルガは、“また何かやらかしたの?今度こそ天誅食らうの?”と肘で突いてくる副長ヘンドリーナをだるそうに手で振り払った。
そしてこの私、とクリスレイン。
『万化、至高の座を懸け競うべし』
クリスレインは深い嘆息をついた。それは永遠のアイドルである彼女だけが知る重みだったのかもしれない。
そして──。
ヴァルガ、あなたにも。ですがこれはあくまで予測ですのでとクリスレインは前置きした。
それは強者と知れば探しに飛び出していかざるを得ない剣士に対する牽制だったのか。実際、無双の運命者ヴァルガ・ドラグレスに対する託宣はここまでで最も平易かつ直接的な言葉で、ヴァルガを瞬時に殺気立たせた。
『無双は最強の挑戦を受けるであろう』
善かろう。
ヴァルガは低く呟き、近くで跪いていたアルダートと轟炎獣カラレオルを湧きあがる剣気で凍りつかせた。
「それで終わりか」「レザエルのは無いのか」
と沈黙を終了とみてレザエルが尋ね、ブラグドマイヤーが続いた。
確かに零のブラグドマイヤー、標のヴェルストラ、禁忌のゾルガ、万化のクリスレイン、そして無双のヴァルガと5人の運命者には託宣があったが、先の運命大戦でもっとも運命力を集めるに至ったレザエルには無い。
「託宣は必ずしも吉兆とは限らない。私に無いのは僥倖かもしれない」
ソエルの何か言いたげな様子と、ブラグドマイヤーがまた言葉にしてくれたことに対する、これがレザエルの返答だった。
「いいえ、レザエル。ごめんなさい」
「あなたが謝ることはない。導きの塔の主クリスレイン」
「そうではありません。もっとも重要な最後の託宣があるのです。でも、どう伝えれば良いか……」
レザエルはもう岸が見えてきたズーガイア大陸の前で、飛行を止めた。ブラグドマイヤーとソエルがそれに続く。
「どうかためらわずに、聞いたままを伝えて欲しい」
「……」
「私は医者だ。あるものを正しく受け取ってそれに対処することには慣れている。それがどんな困難な怪我や病気であろうとも」
それでしたら。とクリスレインは答えたものの、沈黙は聴く者が不安になるほどまだ続いていた。
「言えばいい」
ミュートが解かれたのはレザエルの水晶玉。声はブラグドマイヤーだった。
「レザエルは俺をこの世界に引き上げ、目を開き、生きる術を教えてくれた。彼は強く、柔軟だ。信頼できる」
わかりました。クリスレインは意を決したように口を開いた。
「あなたへの託宣はもっとも謎めいて、そして強いものです」
「聞かせてくれ」
リリカルモナステリオが誇る伝説のアイドルの声が、すべての水晶玉を震わせた。
『汝らが出会うのは宿命者。運命力を懸ける闘争が始まる。奇跡よ、今こそ時の怒りと罪の深さを知れ!』
運命者たちは凍りついた。
そしてレザエルは、まだ正午にもかかわらず、自らが飛んできた自由なる蒼穹が朱に染まり、この奇跡と零の一行の前にはっきりとした敵意をにじませながら狭まってくるのを、確かに感じたのだった。
Illust:タカヤマトシアキ
了
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《今回の一口用語メモ》
奇跡と零の旅──零の虚の後始末
歴史をさかのぼれば古代より、未曾有の災害や侵略者、世界征服の野望に燃える存在の脅威にさらされてきた惑星クレイ世界だが、世間を騒がせた当事者自身がその後の処理を行う例はほとんど聞かない。
その稀な例のひとつが今回語る「ブラグドマイヤーの後始末」である。
先に行われた運命大戦とは『“何らかの目的”のために“何者か”に選ばれ、それぞれ膨大な運命力を付与された運命者同士が邂逅し、その運命力を互いに傾け合う』ことだったが、その終盤、惑星クレイ全体を危うく(文字通り)無に帰するところだったのが零の運命者ブラグドマイヤーと、彼が生み出した零の虚だ。
零の虚はあらゆる物を取り込む「運命力の渦」。ブラグドマイヤーの誕生(ダークステイツにある世界中の悲しみが降り積もる沼から彼は生まれたのだ)以来、その規模と力を増大させ続けてきた。
運命者の運命力を集めたレザエルと彼を待ち受けたブラグドマイヤーの決戦(そして未来からやってきた時の運命者リィエル゠アモルタの出現と消失)をもって運命大戦は終結、零の虚は停止し、騒動は終息を迎えることとなった。
当然ながらここで問題になったのが、ブラグドマイヤーと零の虚をどう扱うか、という事だ。
ブラグドマイヤーは生まれてからの単純な時間計算ではまだ“幼児”であり、本人は飢えを満たしたいという衝動のままに振る舞ったにせよ、確かに大きな被害は及ぼしたのだから。
そして結果から言うと、ブラグドマイヤーはレザエルの保護下におかれ、その償いと教育をかねて彼の旅に加わることになった。
この解決法を提示したのはレザエルと、彼を強く支持する運命者たちだった。
レザエルはブラグドマイヤーとの邂逅(と勝利)の際に、生まれてから沼と虚しか知らなかったブラグドマイヤーを現実世界へと引き上げることを約束し、それを実行したことになる。
一方で、ブラグドマイヤーに対する懸念を解消するために、各国政府や有力者に働きかけたのが他の運命者たちである。幸い、ストイケイアの至宝ワイズキューブにも通じ実質リリカルモナステリオの先導的な立場でもあるクリスレインや、自身が有力者の一人でもあるヴェルストラ、各国に隠然とした影響力をもつゾルガも運命者であり、何より「惑星クレイの歴史でも稀な運命力の持ち主である運命者たちが協力して責任を負う」という事で、奇跡と零の旅が決定となった。
こうして始まった旅は現在、閉じ込められた生物を元の住み処へと返還する作業がようやく終了した段階である。そして零の虚自体もまたその活動を停止している。
旅のもう一つの目的であるブラグドマイヤーの(現実世界と共に生きる仲間に対する)学びについて、良き教師であり良き医師として長い年月、実績を重ねてきたレザエルの監督の下、順調に進んでいるようだ。
零の虚については
→ユニットストーリー136運命大戦第10話、および《今回の一口用語メモ》
また
ユニットストーリー139運命大戦第13話~141運命大戦第15話を参照のこと。
ブリッツCEOヴェルストラこと標の運命者ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”が他の運命者と違い、時の運命者リィエル゠アモルタと深い関わりがあったことについては
→ユニットストーリー131運命大戦第6話、132運命大戦第7話、137運命大戦第11話~139運命大戦第13話を参照のこと。
運命大戦の事後処理については
→ユニットストーリー141 運命大戦第15話および《今回の一口用語メモ》躍進の騎士 アゼンシオルのレポートも参照のこと。
ケテルサンクチュアリのケテルエンジン、オラクルシンクタンクと紡縁の魔法ペララムの予言については
→ユニットストーリー148「紡縁の魔法 ペララム」を参照のこと。
ヴェルストラの秘書ペルフェについては
→ユニットストーリー073「ブリッツセクレタリー ペルフェ」を参照のこと。
ゾルガとヘンドリーナについては
→ユニットストーリー008「継承の乙女 ヘンドリーナ」
→ユニットストーリー009「ハイドロリックラム・ドラゴン」
→ユニットストーリー054「混濁の瘴気」
→ユニットストーリー087「戯弄の降霊術師 ゾルガ・マスクス」
→ユニットストーリー097「六角宝珠の女魔術師 “藍玉”」
→ユニットストーリー125「禍啜り」
→ユニットストーリー134「禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール」
→ユニットストーリー136「 禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール II 《零の虚》」を参照のこと。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡