ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」
ヒーローが必殺技を使うのは何故、最後なのか。
きっと誰もが抱く疑問だろう。
一方で、これを尋ねた時に返ってくる答えは様々だ。例えば……
・必殺技を繰り出すのには心身の全力が要るから。ごもっとも。
・必殺技は「奥の手」だから気軽には使えないし使わない。なるほど。
・その方が格好よく決まるから。美学やヒーローの様式からするとこれも一理ある。
ただ、何事にも例外というものはある。
「ブレイズキーック!」
ドドドーン!!
出会い頭に放たれた必殺技が決まり、穿たれ砕かれた氷の大地ごと複数の目標が、白夜の空高く舞い上がった。
シュタッ!と音を立ててヒーローが着地する。
「3つ制圧」
銀河英勇の女性は素早く立ちあがると決めポーズを取った。戦闘服に包まれた見事なスタイルの立ち姿を、燃える炎のように煌めかせながら。
ステイトリィ・クロツァードは彼女自身、班を率いるリーダーでありながら、誰よりも前線を好む熱き英勇である。
「どんどん来なさい、侵入者ども!」
敵を煽ったクロツァードはくるりと背後を振り返ると、小粋にウィンクをしてみせた。
「……さぁて、今日は誰が手を貸してくれるのかな~」
視線の先、吹雪の帳の向こうに聳える構築物群が見える。
それは彼女たち銀河英勇の地上における本拠だった。
Illust:ゾウノセ
──超銀河基地“A.I.A.S.”。
天輪聖紀、更なる危機の到来に備え、惑星クレイ南極大陸に新たなる基地が建設された。それが“A.I.A.S.”。完成は運命大戦、宿命決戦と同じ頃なので新築の施設である。
従来の基地アイギスとは違う地上基地のため南極圏のどこかにある事は確かなのだが、その位置は公には明らかにされていない。
主な理由は3つ。
一つは歴史と伝統。銀河英勇はその名から推測される通り、正義の守り手として我等こそが旧スターゲート国のクラン、ディメンジョンポリスの正統な後継!との自負がある。ヒーローとは助けを呼ぶ声一つでどこからともなく現れ、ピンチから人々を鮮やかに救う者。これは組織と個人のポリシーなのだ。
二つ目は独立性。ブラントゲート国内にありながら独立した防衛組織として、クレイ惑星圏を守っているのが銀河英勇。ブラントゲート宇宙軍同様、国家の枠をも越える正義心と責任感に満ちている。ヒーローの素性や普段の暮らしは秘密のほうが望ましい。これは美学である。
そして三つ目がリスク回避のため。
ここで言うリスクとは何か?
Illust:まるえ
「たぶん善と悪とは強く引き合う性質を持っているのではないだろうか。原子構造の陽と陰のように。あるいは運命力のようにね」
ピュアリィ・アグノは移動用四輪車の中で、アイアス地上指令室のメンバーに語りかけた。理性的で落ち着きのある大人びた声音とは裏腹に、スクリーンに映し出された姿はぬいぐるみを抱えて微笑む幼児そのものである。
「だから、彼ら侵略者はいつも真っ先にここかそちら、つまり僕らの所を目指して来る。宇宙と地上と、銀河英勇基地はこの星系に敵意や侵略の意図をもって訪れるエイリアンにとって、誘引灯みたいなものだ。僕らは自ら寄せ餌となって敵を引き寄せ、それを迎撃する。市民の生活と安全を妨げぬように、公然とあるいは隠然と」
幼児銀河英勇アグノがいるのは、クレイ衛星軌道上の超銀河基地“A.E.G.I.S.”。
メンバーが静聴するこちら側、南極大陸の地上基地アイアスと宇宙、2つの基地は常時、秘匿通信回線で結ばれている。
なおアグノの言葉は、彼のテレパシーをAIが解析して翻訳し音声出力したものである(本来の彼の喋り方は幼児のものなので、これはスムーズな意思伝達のための措置だ)。
「今回の相手は増殖型のエイリアンということだから」
アグノは指の一振りでバトロイド型銀河英勇の画像を呼び出した。
「ビダシュ・ベルステンが降下したがっていたけれど止めた。彼、自己主張強めだし。爆導索を氷原で使うには注意が必要だからね。皆も、できたばかりの基地を雪崩で埋めたくはないだろう」
ベルステンのプロフィール画像には決めゼリフも表示されている。
『起爆タイミング?それは当然、我々が最も目立つ瞬間さ』
「やっぱりちょっと張り切りすぎだよね」とアグノ。
地上の指令室にクスクスと笑いが漏れた。戦いの最中でもユーモアを忘れないというのは真の強さの証といえるのかもしれない。
もっとも地上基地アイアスに配属されているプログラマー、アマス・ダルニアだけは笑っていなかった。彼女は、自分が組んだプログラムのように正確で効率的に進行することが理想なのだ。雪原連続爆破など論外である。
Illust:けんこ
「さて。クロツァードの援護には誰が行くのかな。そろそろ支援してあげたいね」
幼児アグノは真面目な顔になって確認した。
地上と宇宙の指令室がモニターする前線の映像では、まだステイトリィ・クロツァードは余裕を持って押し寄せるエイリアンを叩きのめしている。ただ常に先手を打つこと、戦力の適時投入は戦略の基本だ。
「それならもうとっくに出ているから。地上のスカウト能力をなめてもらっちゃ困るよ」
戦術オペレーターのディレクト・フォリエはニヤリと笑った。
「3秒後に合流します」
妹のセンダー・ファリスが顔をあげると、視線の先に浮かぶモニターの中でちょうど3つの点が一つになった所だった。
クロツァードは目の前の敵が、後方から飛来した氷片によって倒されたのを見て、その時が来たのを確信した。しかし、振り返った彼女が見た銀河英勇の顔は予想とは違っていたらしい。
「キュオン、あなた今日は非番じゃなかった?」
スリーク ・キュオンは精悍な顔つきの犬型獣人である。
質問には答えずキュオンは叫んだ。
「よけてッ!」
青いスカーフを翻しながら、再び氷片を投げつける。仰け反ったクロツァードをかすめた氷の弾丸は見事、彼女を背後から襲おうとしていたエイリアンを倒す。
感謝と称賛。見交わすだけで2人は通じ合った。
「詳しい話は、この場を切り抜けてからしましょう!クロツァード」「そうね、キュオン」
Illust:ししみ
そして次の瞬間──。
彼女らの頭上を太い電撃の束が通り過ぎていった。2人の英勇は素早く身を伏せる。
着弾!爆発!
これを撃てる男は地上基地アイアスに一人しかいない。
「この手に宿る雷電こそ、我が正義の証明である!」
大音声が氷原を揺るがせた。
赤いマント、力強い巨躯を包む甲冑のような戦闘服、そして雷光を帯びた左の掌。
増援に駆けつけたもう一人、銀河英勇レヴィン ・ブロンディアは雷のごとき人間である。
Illust:白井秀実
「援護するぞ、ステイトリィ・クロツァードォ!」
金髪を逆立たせて絶叫する熱血漢ブロンディアに、言語が通じないはずのエイリアンまでが茫然とする。そして硬直した姿勢のまま雷撃になぎ倒され、倒れていった。
「そりゃあ!5つ制圧!!」
「感謝するわ、レヴィン ・ブロンディア」
クロツァードの言葉にブロンディアは白い歯を見せる。フルネームで呼ばれるのが好きな男だ。
3人は氷原の上で背中を合わせた。
「行けるか」巨漢ブロンディア。
「馬鹿にしないで!これくらい」と犬型キュオン。
「肩慣らしにもならないわよね。この程度、何体来ても同じこと」
炎の英勇クロツァードはそう言うとマントを跳ね上げて振り向いた。
基地の前の氷原は今、同型のエイリアンの群れで埋まりつつあった。じりじりと距離を詰められつつある。
『君たちは個々に強いが、それでも力に頼り過ぎだ』
?!
3人はいきなり割って入った秘匿回線の通信に、顔を見合わせた。
『一方で、数に任せて次第に優位を手に入れるというのも一つの戦法だ。ヤツらのように。そして先程、基地のAIはそのエイリアンと群生体を『インテント・ディセミネイター』と命名した。彼らの頭部を見ろ。あの器官をアンテナに、彼らは群れでありながら一つの個体として侵略行動するようだ』
Illust:IWAO
「テイフォスね」
沈黙は正解を告げているようだ。クロツァードは長い髪を振りながら続けた。
「こんな時に、長々と分析結果を並べるのはあなたしかいない」
銀河英勇アイシィ・テイフォス。沈着冷静な彼は基地防衛の重鎮であり、クロツァードがライバル心を燃やす強者である。
『そこから下がれ。考えがある』
「ちょっと!私たちに逃げだせって言うの?!」
クロツァードは襲いかかってきた複数のエイリアンを弾き飛ばしながら叫んだ。
『攻めるばかりが戦いではない。疲れるまで奮闘するのは勝手だが効率を考えろ。力を無駄遣いするな』
……悔しいけど正論ね。そういう所が気に入らないのよ。
「どうするの?」「オレはどちらでも良いぞ!」
犬型キュオンと巨漢ブロンディアの言葉に、炎のクロツァードはリーダーとして即答した。
「退きましょう。次の合図で。1、2……」
3!
銀河英勇3人は、数で浸透しようと寄せ来るエイリアンの群れの圧力を絶妙なタイミングで外し、基地の方向に走り出した。
「これで言った通り。その優位とやらにちゃんと導いてよ」
クロツァードは怒りをこめて叫んだ。それも当然だ。ヒーローたるものが敵に背を向けたのだから。
駆ける彼女らの前方、吹雪の向こう側に、超銀河基地“A.I.A.S.”の偉容が現れた。ここから基地への道はまっすぐで、最後の谷間を越えるともう防御に有利なポイントはない。だが……
『止まるな。そのまま駆け抜けろ』
冷たいテイフォスの声が背中を押した。
そして谷を出た途端、アイシィ・テイフォスが入れ替わりに飛び出し、英勇3人と寄せ来るエイリアンとの間に割って入った。
その両手から南極の大気を下回る、文字通り極寒の冷気が発生しだした。
Illust:霜村航
「テイフォス!」
「俺には構うな。このチャンスを生かせ」
「だけど……」
「案ずるな。俺の氷は砕けない」
テイフォスは侵入者インテント・ディセミネイターがひしめく谷に向かって、手を差し伸べた。
ピキピキピキ……。
アイシィ・テイフォスは強力な寒気と氷を操る銀河英勇だ。
侵入者の群れは谷の隘路に阻まれ、進むことも退くこともできぬまま、みるみる氷の彫像と化していく。
今だ。
「合わせていくわよ!みんな!!」クロツァードが叫んだ。
「どりゃー!レヴィンズ・雷電ォ!」
熱すぎる技のコールと共に、巨漢レヴィン・ブロンディアは渾身の力をこめて電撃の必殺技を放つ。
氷は絶縁体。つまり電撃を放っても感電はしない。
だがそれはただの電気だったならの話だ。
レヴィンズ・雷電で放たれたエネルギーは、アイシィ・テイフォスが凍らせた氷塊にぶつかると瞬時に熱と衝撃に転換した。
ババババ!!
侵入者の群れは、蒸気に焼かれたうえに爆風と衝撃波で翻弄され、苦悶しながら立ち尽くした。
「これでも喰らいな!」
犬型獣人スリーク ・キュオンは、いつの間にか駆け昇っていた崖の頂点から今日一番の怪力を見せて、巨大な岩石を転がり落とす。
ズーン!!!
何体ものエイリアンを巻き込みながら岩は谷の出口を塞ぎ、無限とも思えた侵入者インテント・ディセミネイターの群れはこの瞬間、狭い谷にひしめく一つの“標的”となった。
オォォォ!
すでに戦意を削られているエイリアン達の中で、いったい何体が目撃しただろうか。
赤と青の疾風のように駆けてくる炎の英勇の姿を。
そして彼女は、飛んだ。氷原の空高く。
「……スーパー!」
終わったな。超必殺技のコールに、アイシィ・テイフォスは薄く渋い笑みを浮かべた。
「ブレイズキーック!!」
Illust:BISAI
──!!!
南極圏、その一端に正義の爆光が湧きあがった。
掃討完了!
白夜の下では昼と夜の違いは無い。
人間にとってそれは時間の経過さえあやふやにするものだ。
だから、膝をついたステイトリィ・クロツァードの目の前に手が差し伸べられたのは、決着が付いてすぐかもしれないし、かなり経ってからかもしれなかった。
目を上げると彼女の側には3人の仲間が、前方には敵ごと消滅した地形──U字状により深く抉られた崩壊谷──が広がっていた。
「リーダー、お疲れさま」
犬型獣人スリーク ・キュオンの手をクロツァードは取った。
「さすがだな、リーダー」
巨漢レヴィン・ブロンディアは金髪をかき上げながら、クロツァードがえぐり取った衝撃痕の凄まじさを眺めた。
「みんなのおかげよ。いつもながらね」
「この通路の修復には手間かかりそうね」
でも手伝うわ、とスリーク ・キュオンは怪力に似合わぬ細い肩をすくめた。
「まぁ良いではないか。敵は叩きのめしてやったわけだし。思考を同調させ増殖を繰り返す侵略者が、もしデッドゾーンの主やグラビディアンあたりと接触したならもっと厄介だったかもしれんぞ」
レヴィン・ブロンディアは巨躯を揺らして笑った。この南極に専用グラップルステージを持つ戦闘狂凌駕の宿命者インバルディオや極点付近に不可侵の王国を築くグラビディアンにも考えが及ぶ辺り、この男も豪快なだけではない。
「先に行く。報告をせねばならん」
アイシィ・テイフォスが身を翻した。
「テイフォス」「なんだ」
「援護、感謝する」
クロツァードは歩き出した氷使いアイシィ・テイフォスに向かい、親指を立てた。
無表情で彼も手を挙げる。先程の満足げな笑みは誰にも──戦闘をモニターしていた基地のスタッフにすら──悟られてはいない。冷たく硬く氷のように厳しくあれ。誰よりも自分に。これも彼流の美学なのだ。
「また組もう。次はもっと息が合うぞ」
ブロンディアがまた豪快に笑った。
まぁ良いか。
クロツァードは嘆息をついて歩き出した。犬型スリーク ・キュオンが労るように優しく肩を叩く。
アイシィ・テイフォスにいい様に操られた感は無くもないが、何事も自分寄りに考えると成長しないし、結果に完璧を求めすぎるとちょっとしたアクシデントに足をすくわれ易くなる。銀河英勇は一人で戦っているわけではないのだから。
仲間と息を合わせ、チームで勝利。
精一杯力を振り絞って、この星の平和は守られた。
私には助け合い頼れる仲間がいて、帰るべき基地がある。
今日はこれで、いいじゃない。
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《今回の一口用語メモ》
ブラントゲートの防衛・治安維持組織──銀河英勇の守備範囲とポリシー
ブラントゲート国には治安維持や国土防衛のために結成された、幾つかの戦闘集団がある。
①ブラントゲート宇宙軍
②銀河英勇
③超銀河警備保障
今回はこれらの集団、組織についてそれぞれの特徴を比べてみよう。
①ブラントゲート宇宙軍
言わずと知れたブラントゲート国の正規部隊。ただし小競り合いを除けば、大艦隊が出動するような宇宙戦は(少なくとも公には)久しく行われておらず、練度と士気の維持を兼ねて動員・参加する娯楽競技「ノヴァグラップル《銀河級》」での活躍のほうが有名である。とはいえ、惑星クレイ唯一最大の宇宙艦隊による哨戒活動があるおかげで今日、恒星系の治安が維持されているのは揺るがない事実であり、この3つの組織の中では「もっとも規模が大きい」「外宇宙からクレイ星系の宇宙空間までを守備範囲とする」「国家所属の正規組織」が特徴となる。
②銀河英勇
今回本編でも活躍が描かれた独立非営利団体。
主な拠点としてクレイ衛星軌道上の超銀河基地“A.E.G.I.S.”、地上南極大陸の超銀河基地“A.I.A.S.”がある。
独自の技術として瞬間転送装置とその運用ネットワークがあり、瞬時の出撃と撤退を可能とするこの技術を自在に使用できるのは、ブラントゲート国の機関や宇宙軍、ブリッツCEO ヴェルストラこと標の運命者 ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”を除けば、現在も銀河英勇のいわば特権のようなものだ。
英勇たちはスカウトされて基地に所属する。
種族も年齢も性別も性格や思想も様々だが、共通しているのが平和を愛し、悪と戦う使命に燃える熱い正義心である。
天輪聖紀になって表舞台での活躍が増えたヒーロー集団であり、旧スターゲート国のクラン、次元犯罪対策組織ディメンジョンポリスの正統な後継として活動している。装備と能力は個々人が得意とするものが使われるため多彩。共通するものとして宇宙空間を含むほぼ全ての状況で、多次元の敵とも戦える力を与える「戦闘服※バトロイドなど機械の場合は組織仕様に合わせた変更とアップデート※」が挙げられる。
以上のことから銀河英勇とは、①のブラントゲート宇宙軍では捉えきれない外宇宙由来からの侵略者、脅威に備えて戦うことを得意とする。つまり「クレイ星系と惑星圏を守備範囲とする」「ディメンジョンポリスの独立組織/非営利組織」「誇り高き“勇”の称号を帯びるヒーロー集団」ということができる。
また天輪や運命者・宿命者との関係も深く、惑星クレイの脅威となる存在については相互に情報共有も進んでいるため、惑星クレイ第一の月からムーンキーパーと月の門、ヴェイズルーグが宇宙的な存在として、クレイの住民である奇跡の運命者レザエルに接触した時、CEOヴェルストラが迷わず宇宙軍と銀河英勇、そして親友バスティオンが率いるケテルサンクチュアリ防衛省の3つに通報したことは理に適っている。
③超銀河警備保障
ブラントゲートの民間企業。
超銀河兵装「オーロラフレーム」に身を包んだエージェント極光戦姫が街の悪を取り締まる。ブラントゲートにも国家警察は存在・機能しているが、超銀河警備保障は他種族国家であるブラントゲートにおいて「ドーム都市を中心とした治安維持と脅威対応」する「警備ビジネス(営利)を目的として設立されたディメンジョンポリスの派生組織」であり「実績に裏打ちされた高い信頼」を特徴とする。
また超銀河警備保障は法の番人として、ブラントゲート国から逮捕権と拘留権も認可されているので、正統な手続きを踏むことで犯罪者を銀河中央監獄ギャラクトラズに収容することができる。絶対脱出不能といわれるギャラクトラズは、特にエイリアンやクレイ地上で扱いに困る対象などの拘留措置に向いており、他の組織や前述の警察などとも盛んに連携している。
つまりここまであげた①宇宙軍②銀河英勇③超銀河警備保障の順で、外宇宙から恒星系、惑星圏、地上と都市とそれぞれ重なり合いつつ脅威に備え、日々活動している事が、ブラントゲート国と惑星クレイ全体の治安と平和を守っているのだ。
銀河英勇については
→ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
《今回の一口用語メモ》を参照のこと。
銀河英勇が惑星クレイ星系に対する脅威に警戒している様子については
→ユニットストーリー126「大望の翼 ソエル」
を参照のこと。
なお、ブリッツCEO ヴェルストラが月とムーンキーパーの動きに反応して真っ先に連絡したのが、ブラントゲート宇宙軍と銀河英勇、ケテルサンクチュアリ防衛省であったことは
→ユニットストーリー177「月の門番 ヴェイズルーグ」
で描かれている。
銀河英勇のノヴァグラップル参加については
→ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
を参照のこと。
銀河英勇と超銀河基地ヒーローズ・ベースA.E.G.I.S.については
→『The Elderly ~時空竜と創成竜~』
後篇 第1話 遡上あるいは始源はじまりへの旅
後篇 第2話 終局への道程
を参照のこと。
なおピュアリィ・アグノらメンバーについては
→ユニットストーリー126「大望の翼 ソエル」
ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
でも描かれている。
銀河英勇と瞬間転送については
→『The Elderly ~時空竜と創成竜~』後篇 第2話 終局への道程
ユニットストーリー131「標の運命者ヴェルストラ “ブリッツ・アームズ”」《今回の一口用語メモ》
を参照のこと。
銀河中央監獄ギャラクトラズについては
→ユニットストーリー110「宇宙監獄長 ジェイラス」
を参照のこと。
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きっと誰もが抱く疑問だろう。
一方で、これを尋ねた時に返ってくる答えは様々だ。例えば……
・必殺技を繰り出すのには心身の全力が要るから。ごもっとも。
・必殺技は「奥の手」だから気軽には使えないし使わない。なるほど。
・その方が格好よく決まるから。美学やヒーローの様式からするとこれも一理ある。
ただ、何事にも例外というものはある。
「ブレイズキーック!」
ドドドーン!!
出会い頭に放たれた必殺技が決まり、穿たれ砕かれた氷の大地ごと複数の目標が、白夜の空高く舞い上がった。
シュタッ!と音を立ててヒーローが着地する。
「3つ制圧」
銀河英勇の女性は素早く立ちあがると決めポーズを取った。戦闘服に包まれた見事なスタイルの立ち姿を、燃える炎のように煌めかせながら。
ステイトリィ・クロツァードは彼女自身、班を率いるリーダーでありながら、誰よりも前線を好む熱き英勇である。
「どんどん来なさい、侵入者ども!」
敵を煽ったクロツァードはくるりと背後を振り返ると、小粋にウィンクをしてみせた。
「……さぁて、今日は誰が手を貸してくれるのかな~」
視線の先、吹雪の帳の向こうに聳える構築物群が見える。
それは彼女たち銀河英勇の地上における本拠だった。

──超銀河基地“A.I.A.S.”。
天輪聖紀、更なる危機の到来に備え、惑星クレイ南極大陸に新たなる基地が建設された。それが“A.I.A.S.”。完成は運命大戦、宿命決戦と同じ頃なので新築の施設である。
従来の基地アイギスとは違う地上基地のため南極圏のどこかにある事は確かなのだが、その位置は公には明らかにされていない。
主な理由は3つ。
一つは歴史と伝統。銀河英勇はその名から推測される通り、正義の守り手として我等こそが旧スターゲート国のクラン、ディメンジョンポリスの正統な後継!との自負がある。ヒーローとは助けを呼ぶ声一つでどこからともなく現れ、ピンチから人々を鮮やかに救う者。これは組織と個人のポリシーなのだ。
二つ目は独立性。ブラントゲート国内にありながら独立した防衛組織として、クレイ惑星圏を守っているのが銀河英勇。ブラントゲート宇宙軍同様、国家の枠をも越える正義心と責任感に満ちている。ヒーローの素性や普段の暮らしは秘密のほうが望ましい。これは美学である。
そして三つ目がリスク回避のため。
ここで言うリスクとは何か?

「たぶん善と悪とは強く引き合う性質を持っているのではないだろうか。原子構造の陽と陰のように。あるいは運命力のようにね」
ピュアリィ・アグノは移動用四輪車の中で、アイアス地上指令室のメンバーに語りかけた。理性的で落ち着きのある大人びた声音とは裏腹に、スクリーンに映し出された姿はぬいぐるみを抱えて微笑む幼児そのものである。
「だから、彼ら侵略者はいつも真っ先にここかそちら、つまり僕らの所を目指して来る。宇宙と地上と、銀河英勇基地はこの星系に敵意や侵略の意図をもって訪れるエイリアンにとって、誘引灯みたいなものだ。僕らは自ら寄せ餌となって敵を引き寄せ、それを迎撃する。市民の生活と安全を妨げぬように、公然とあるいは隠然と」
幼児銀河英勇アグノがいるのは、クレイ衛星軌道上の超銀河基地“A.E.G.I.S.”。
メンバーが静聴するこちら側、南極大陸の地上基地アイアスと宇宙、2つの基地は常時、秘匿通信回線で結ばれている。
なおアグノの言葉は、彼のテレパシーをAIが解析して翻訳し音声出力したものである(本来の彼の喋り方は幼児のものなので、これはスムーズな意思伝達のための措置だ)。
「今回の相手は増殖型のエイリアンということだから」
アグノは指の一振りでバトロイド型銀河英勇の画像を呼び出した。
「ビダシュ・ベルステンが降下したがっていたけれど止めた。彼、自己主張強めだし。爆導索を氷原で使うには注意が必要だからね。皆も、できたばかりの基地を雪崩で埋めたくはないだろう」
ベルステンのプロフィール画像には決めゼリフも表示されている。
『起爆タイミング?それは当然、我々が最も目立つ瞬間さ』
「やっぱりちょっと張り切りすぎだよね」とアグノ。
地上の指令室にクスクスと笑いが漏れた。戦いの最中でもユーモアを忘れないというのは真の強さの証といえるのかもしれない。
もっとも地上基地アイアスに配属されているプログラマー、アマス・ダルニアだけは笑っていなかった。彼女は、自分が組んだプログラムのように正確で効率的に進行することが理想なのだ。雪原連続爆破など論外である。

「さて。クロツァードの援護には誰が行くのかな。そろそろ支援してあげたいね」
幼児アグノは真面目な顔になって確認した。
地上と宇宙の指令室がモニターする前線の映像では、まだステイトリィ・クロツァードは余裕を持って押し寄せるエイリアンを叩きのめしている。ただ常に先手を打つこと、戦力の適時投入は戦略の基本だ。
「それならもうとっくに出ているから。地上のスカウト能力をなめてもらっちゃ困るよ」
戦術オペレーターのディレクト・フォリエはニヤリと笑った。
「3秒後に合流します」
妹のセンダー・ファリスが顔をあげると、視線の先に浮かぶモニターの中でちょうど3つの点が一つになった所だった。
クロツァードは目の前の敵が、後方から飛来した氷片によって倒されたのを見て、その時が来たのを確信した。しかし、振り返った彼女が見た銀河英勇の顔は予想とは違っていたらしい。
「キュオン、あなた今日は非番じゃなかった?」
スリーク ・キュオンは精悍な顔つきの犬型獣人である。
質問には答えずキュオンは叫んだ。
「よけてッ!」
青いスカーフを翻しながら、再び氷片を投げつける。仰け反ったクロツァードをかすめた氷の弾丸は見事、彼女を背後から襲おうとしていたエイリアンを倒す。
感謝と称賛。見交わすだけで2人は通じ合った。
「詳しい話は、この場を切り抜けてからしましょう!クロツァード」「そうね、キュオン」

そして次の瞬間──。
彼女らの頭上を太い電撃の束が通り過ぎていった。2人の英勇は素早く身を伏せる。
着弾!爆発!
これを撃てる男は地上基地アイアスに一人しかいない。
「この手に宿る雷電こそ、我が正義の証明である!」
大音声が氷原を揺るがせた。
赤いマント、力強い巨躯を包む甲冑のような戦闘服、そして雷光を帯びた左の掌。
増援に駆けつけたもう一人、銀河英勇レヴィン ・ブロンディアは雷のごとき人間である。

「援護するぞ、ステイトリィ・クロツァードォ!」
金髪を逆立たせて絶叫する熱血漢ブロンディアに、言語が通じないはずのエイリアンまでが茫然とする。そして硬直した姿勢のまま雷撃になぎ倒され、倒れていった。
「そりゃあ!5つ制圧!!」
「感謝するわ、レヴィン ・ブロンディア」
クロツァードの言葉にブロンディアは白い歯を見せる。フルネームで呼ばれるのが好きな男だ。
3人は氷原の上で背中を合わせた。
「行けるか」巨漢ブロンディア。
「馬鹿にしないで!これくらい」と犬型キュオン。
「肩慣らしにもならないわよね。この程度、何体来ても同じこと」
炎の英勇クロツァードはそう言うとマントを跳ね上げて振り向いた。
基地の前の氷原は今、同型のエイリアンの群れで埋まりつつあった。じりじりと距離を詰められつつある。
『君たちは個々に強いが、それでも力に頼り過ぎだ』
?!
3人はいきなり割って入った秘匿回線の通信に、顔を見合わせた。
『一方で、数に任せて次第に優位を手に入れるというのも一つの戦法だ。ヤツらのように。そして先程、基地のAIはそのエイリアンと群生体を『インテント・ディセミネイター』と命名した。彼らの頭部を見ろ。あの器官をアンテナに、彼らは群れでありながら一つの個体として侵略行動するようだ』

「テイフォスね」
沈黙は正解を告げているようだ。クロツァードは長い髪を振りながら続けた。
「こんな時に、長々と分析結果を並べるのはあなたしかいない」
銀河英勇アイシィ・テイフォス。沈着冷静な彼は基地防衛の重鎮であり、クロツァードがライバル心を燃やす強者である。
『そこから下がれ。考えがある』
「ちょっと!私たちに逃げだせって言うの?!」
クロツァードは襲いかかってきた複数のエイリアンを弾き飛ばしながら叫んだ。
『攻めるばかりが戦いではない。疲れるまで奮闘するのは勝手だが効率を考えろ。力を無駄遣いするな』
……悔しいけど正論ね。そういう所が気に入らないのよ。
「どうするの?」「オレはどちらでも良いぞ!」
犬型キュオンと巨漢ブロンディアの言葉に、炎のクロツァードはリーダーとして即答した。
「退きましょう。次の合図で。1、2……」
3!
銀河英勇3人は、数で浸透しようと寄せ来るエイリアンの群れの圧力を絶妙なタイミングで外し、基地の方向に走り出した。
「これで言った通り。その優位とやらにちゃんと導いてよ」
クロツァードは怒りをこめて叫んだ。それも当然だ。ヒーローたるものが敵に背を向けたのだから。
駆ける彼女らの前方、吹雪の向こう側に、超銀河基地“A.I.A.S.”の偉容が現れた。ここから基地への道はまっすぐで、最後の谷間を越えるともう防御に有利なポイントはない。だが……
『止まるな。そのまま駆け抜けろ』
冷たいテイフォスの声が背中を押した。
そして谷を出た途端、アイシィ・テイフォスが入れ替わりに飛び出し、英勇3人と寄せ来るエイリアンとの間に割って入った。
その両手から南極の大気を下回る、文字通り極寒の冷気が発生しだした。

「テイフォス!」
「俺には構うな。このチャンスを生かせ」
「だけど……」
「案ずるな。俺の氷は砕けない」
テイフォスは侵入者インテント・ディセミネイターがひしめく谷に向かって、手を差し伸べた。
ピキピキピキ……。
アイシィ・テイフォスは強力な寒気と氷を操る銀河英勇だ。
侵入者の群れは谷の隘路に阻まれ、進むことも退くこともできぬまま、みるみる氷の彫像と化していく。
今だ。
「合わせていくわよ!みんな!!」クロツァードが叫んだ。
「どりゃー!レヴィンズ・雷電ォ!」
熱すぎる技のコールと共に、巨漢レヴィン・ブロンディアは渾身の力をこめて電撃の必殺技を放つ。
氷は絶縁体。つまり電撃を放っても感電はしない。
だがそれはただの電気だったならの話だ。
レヴィンズ・雷電で放たれたエネルギーは、アイシィ・テイフォスが凍らせた氷塊にぶつかると瞬時に熱と衝撃に転換した。
ババババ!!
侵入者の群れは、蒸気に焼かれたうえに爆風と衝撃波で翻弄され、苦悶しながら立ち尽くした。
「これでも喰らいな!」
犬型獣人スリーク ・キュオンは、いつの間にか駆け昇っていた崖の頂点から今日一番の怪力を見せて、巨大な岩石を転がり落とす。
ズーン!!!
何体ものエイリアンを巻き込みながら岩は谷の出口を塞ぎ、無限とも思えた侵入者インテント・ディセミネイターの群れはこの瞬間、狭い谷にひしめく一つの“標的”となった。
オォォォ!
すでに戦意を削られているエイリアン達の中で、いったい何体が目撃しただろうか。
赤と青の疾風のように駆けてくる炎の英勇の姿を。
そして彼女は、飛んだ。氷原の空高く。
「……スーパー!」
終わったな。超必殺技のコールに、アイシィ・テイフォスは薄く渋い笑みを浮かべた。
「ブレイズキーック!!」

──!!!
南極圏、その一端に正義の爆光が湧きあがった。
掃討完了!
白夜の下では昼と夜の違いは無い。
人間にとってそれは時間の経過さえあやふやにするものだ。
だから、膝をついたステイトリィ・クロツァードの目の前に手が差し伸べられたのは、決着が付いてすぐかもしれないし、かなり経ってからかもしれなかった。
目を上げると彼女の側には3人の仲間が、前方には敵ごと消滅した地形──U字状により深く抉られた崩壊谷──が広がっていた。
「リーダー、お疲れさま」
犬型獣人スリーク ・キュオンの手をクロツァードは取った。
「さすがだな、リーダー」
巨漢レヴィン・ブロンディアは金髪をかき上げながら、クロツァードがえぐり取った衝撃痕の凄まじさを眺めた。
「みんなのおかげよ。いつもながらね」
「この通路の修復には手間かかりそうね」
でも手伝うわ、とスリーク ・キュオンは怪力に似合わぬ細い肩をすくめた。
「まぁ良いではないか。敵は叩きのめしてやったわけだし。思考を同調させ増殖を繰り返す侵略者が、もしデッドゾーンの主やグラビディアンあたりと接触したならもっと厄介だったかもしれんぞ」
レヴィン・ブロンディアは巨躯を揺らして笑った。この南極に専用グラップルステージを持つ戦闘狂凌駕の宿命者インバルディオや極点付近に不可侵の王国を築くグラビディアンにも考えが及ぶ辺り、この男も豪快なだけではない。
「先に行く。報告をせねばならん」
アイシィ・テイフォスが身を翻した。
「テイフォス」「なんだ」
「援護、感謝する」
クロツァードは歩き出した氷使いアイシィ・テイフォスに向かい、親指を立てた。
無表情で彼も手を挙げる。先程の満足げな笑みは誰にも──戦闘をモニターしていた基地のスタッフにすら──悟られてはいない。冷たく硬く氷のように厳しくあれ。誰よりも自分に。これも彼流の美学なのだ。
「また組もう。次はもっと息が合うぞ」
ブロンディアがまた豪快に笑った。
まぁ良いか。
クロツァードは嘆息をついて歩き出した。犬型スリーク ・キュオンが労るように優しく肩を叩く。
アイシィ・テイフォスにいい様に操られた感は無くもないが、何事も自分寄りに考えると成長しないし、結果に完璧を求めすぎるとちょっとしたアクシデントに足をすくわれ易くなる。銀河英勇は一人で戦っているわけではないのだから。
仲間と息を合わせ、チームで勝利。
精一杯力を振り絞って、この星の平和は守られた。
私には助け合い頼れる仲間がいて、帰るべき基地がある。
今日はこれで、いいじゃない。
了
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《今回の一口用語メモ》
ブラントゲートの防衛・治安維持組織──銀河英勇の守備範囲とポリシー
ブラントゲート国には治安維持や国土防衛のために結成された、幾つかの戦闘集団がある。
①ブラントゲート宇宙軍
②銀河英勇
③超銀河警備保障
今回はこれらの集団、組織についてそれぞれの特徴を比べてみよう。
①ブラントゲート宇宙軍
言わずと知れたブラントゲート国の正規部隊。ただし小競り合いを除けば、大艦隊が出動するような宇宙戦は(少なくとも公には)久しく行われておらず、練度と士気の維持を兼ねて動員・参加する娯楽競技「ノヴァグラップル《銀河級》」での活躍のほうが有名である。とはいえ、惑星クレイ唯一最大の宇宙艦隊による哨戒活動があるおかげで今日、恒星系の治安が維持されているのは揺るがない事実であり、この3つの組織の中では「もっとも規模が大きい」「外宇宙からクレイ星系の宇宙空間までを守備範囲とする」「国家所属の正規組織」が特徴となる。
②銀河英勇
今回本編でも活躍が描かれた独立非営利団体。
主な拠点としてクレイ衛星軌道上の超銀河基地“A.E.G.I.S.”、地上南極大陸の超銀河基地“A.I.A.S.”がある。
独自の技術として瞬間転送装置とその運用ネットワークがあり、瞬時の出撃と撤退を可能とするこの技術を自在に使用できるのは、ブラントゲート国の機関や宇宙軍、ブリッツCEO ヴェルストラこと標の運命者 ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”を除けば、現在も銀河英勇のいわば特権のようなものだ。
英勇たちはスカウトされて基地に所属する。
種族も年齢も性別も性格や思想も様々だが、共通しているのが平和を愛し、悪と戦う使命に燃える熱い正義心である。
天輪聖紀になって表舞台での活躍が増えたヒーロー集団であり、旧スターゲート国のクラン、次元犯罪対策組織ディメンジョンポリスの正統な後継として活動している。装備と能力は個々人が得意とするものが使われるため多彩。共通するものとして宇宙空間を含むほぼ全ての状況で、多次元の敵とも戦える力を与える「戦闘服※バトロイドなど機械の場合は組織仕様に合わせた変更とアップデート※」が挙げられる。
以上のことから銀河英勇とは、①のブラントゲート宇宙軍では捉えきれない外宇宙由来からの侵略者、脅威に備えて戦うことを得意とする。つまり「クレイ星系と惑星圏を守備範囲とする」「ディメンジョンポリスの独立組織/非営利組織」「誇り高き“勇”の称号を帯びるヒーロー集団」ということができる。
また天輪や運命者・宿命者との関係も深く、惑星クレイの脅威となる存在については相互に情報共有も進んでいるため、惑星クレイ第一の月からムーンキーパーと月の門、ヴェイズルーグが宇宙的な存在として、クレイの住民である奇跡の運命者レザエルに接触した時、CEOヴェルストラが迷わず宇宙軍と銀河英勇、そして親友バスティオンが率いるケテルサンクチュアリ防衛省の3つに通報したことは理に適っている。
③超銀河警備保障
ブラントゲートの民間企業。
超銀河兵装「オーロラフレーム」に身を包んだエージェント極光戦姫が街の悪を取り締まる。ブラントゲートにも国家警察は存在・機能しているが、超銀河警備保障は他種族国家であるブラントゲートにおいて「ドーム都市を中心とした治安維持と脅威対応」する「警備ビジネス(営利)を目的として設立されたディメンジョンポリスの派生組織」であり「実績に裏打ちされた高い信頼」を特徴とする。
また超銀河警備保障は法の番人として、ブラントゲート国から逮捕権と拘留権も認可されているので、正統な手続きを踏むことで犯罪者を銀河中央監獄ギャラクトラズに収容することができる。絶対脱出不能といわれるギャラクトラズは、特にエイリアンやクレイ地上で扱いに困る対象などの拘留措置に向いており、他の組織や前述の警察などとも盛んに連携している。
つまりここまであげた①宇宙軍②銀河英勇③超銀河警備保障の順で、外宇宙から恒星系、惑星圏、地上と都市とそれぞれ重なり合いつつ脅威に備え、日々活動している事が、ブラントゲート国と惑星クレイ全体の治安と平和を守っているのだ。
銀河英勇については
→ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
《今回の一口用語メモ》を参照のこと。
銀河英勇が惑星クレイ星系に対する脅威に警戒している様子については
→ユニットストーリー126「大望の翼 ソエル」
を参照のこと。
なお、ブリッツCEO ヴェルストラが月とムーンキーパーの動きに反応して真っ先に連絡したのが、ブラントゲート宇宙軍と銀河英勇、ケテルサンクチュアリ防衛省であったことは
→ユニットストーリー177「月の門番 ヴェイズルーグ」
で描かれている。
銀河英勇のノヴァグラップル参加については
→ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
を参照のこと。
銀河英勇と超銀河基地ヒーローズ・ベースA.E.G.I.S.については
→『The Elderly ~時空竜と創成竜~』
後篇 第1話 遡上あるいは始源はじまりへの旅
後篇 第2話 終局への道程
を参照のこと。
なおピュアリィ・アグノらメンバーについては
→ユニットストーリー126「大望の翼 ソエル」
ユニットストーリー135「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス II 《ノヴァグラップル血風行》」
でも描かれている。
銀河英勇と瞬間転送については
→『The Elderly ~時空竜と創成竜~』後篇 第2話 終局への道程
ユニットストーリー131「標の運命者ヴェルストラ “ブリッツ・アームズ”」《今回の一口用語メモ》
を参照のこと。
銀河中央監獄ギャラクトラズについては
→ユニットストーリー110「宇宙監獄長 ジェイラス」
を参照のこと。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡