ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」
ここでクイズです。
ノヴァグラップルの客席で一番出るゴミは何でしょう?
…
…
…
…
はい。正解は「紙」!
意外だった?
ブラントゲートくらいの超科学国でも結局、観戦する客席でよく使われるのは紙なんだよねー。
入場チケット(デジタルが基本だけど紙で発券してもらうのが一番確実だ)、スタジアムグルメの包装から紙コップ、パンフレットやチラシ、グラップルくじ券、メッセージボードや勝者に降り注ぐ紙吹雪まで。軽くて簡単に形を変えられるし丈夫。でも使い終えて捨てる時も回収・分解しやすく、リサイクル可能。もちろんスタジアムグルメには生分解性のプラスチック容器も使われているけどそれでも仕事柄、紙が多いことは実感してる。
さて、そこで。
皆さんが観戦後に捨てたこうしたゴミが、どうしてすぐに消えてなくなるのかと言えば、それは我らワーカロイド清掃員そしてこの私、スパトレス・クリーナー リジェリアの働きなのですっ。
床も手すりも客席も次の試合までに、ピカピカキレイにしちゃいますよ~!
Illust:がり
Pi──!!!
張り切って通路に掃除機をかけ始めた瞬間にアラームが鳴り、停止した。
「もう!」
でも私はへこたれない。
清掃員と掃除機の仕事とは、ゴミとの果てしない戦いだからだ。それに忘れ物との。
高性能ロボット掃除機である私の相棒が止まったのは、座席の下から通路の床に転げ落ちてきたある物体を察知したからだ。
掃除の基本は「掃く/吸い取る/拭く」。
私たちが使う掃除機のノズルは吸引力が落ちない構造と優れたフィルターを備え、紙も食べ残しも液体でも吸い込んでキレイに洗浄・乾燥までする。
ただフルパワーで何でもかんでもホースに流せば良いというものでもないんだ。
こういう引きがあるから。
「これなぁに?」
私はかがみ込むと、小さな箱状のそれを持ち上げた。
腰掛ける座席みたいなもの。サイズが小さいのは携帯用?スイッチに「暖房」の表示。
これ、ひょっとして。
「チーフ、リジェリアです。忘れ物、発見」
頬に内装されたインカムをちょんと押して呼びかけた。次が私の推理だ。
「ひょっとして今日、外で釣りに来ているお客様っていませんかー?」
Illust:むなぁげ
「氷穴釣り大会の真っ最中だそうだ。椅子は別なスタッフに任せるから、君はそのまま続けてくれ。リジェリア」
「了解!」
なるほどね。通信を切った私は納得しながら相棒をONにする。
ブラントゲートで通年好まれる娯楽として『氷穴釣り』がある。
ただ気をつけて!
ドームの外は南極大陸。季節は冬の初め。外の気温がマイナス40℃なんて日もある。
携帯暖房椅子なしで挑むなんて──私たちワーカロイドでさえ機能停止しそう──まさに「命懸けの氷穴釣り!」だ。
お客さん、氷漬けになってないかな?早く届くといいね。
スタジアムの掃除って単調で退屈だと思う?
実際は逆。
まずノヴァグラップルのスタジアムは大抵、とても広い。
これを私たち清掃班は分担して取りかかるのだけれど、それでも広すぎる。
だからまず大事なのはスピード、そして効率。
もちろん急いでいても、さっきのような忘れ物対応も疎かにはできない。
ベンダーのクランクドさん(合い言葉は「目指せ!売り上げ一位!」)やメイティーナちゃんともよく話す事だけど、彼や彼女たちが試合中の客席担当、表ならば私たちは裏方。どちらもお客さんに最高のノヴァグラップル体験をしてもらいたいと心から思っている。
だから万が一にもガムを踏んづけたり、食べ物の包装紙が飛んできたり、飲み残しで床が汚れていたり、バトロイド闘士から脱落したボルトやギアが落ちていたり──どれも自分がお客だったらイヤでしょ──するようなことがないように、私たちは頑張るんだ。
チーフもブリーフィングでよく言っている。
「君たちもまたノヴァグラップラーなんだ」ってね。
Illust:オサフネオウジ
Pi・Pi・Pi──!!!
掃除機が止まったのは広い広いスタジアムを回って、あとひと息という所。闘士の控え室近くまで到達した時だった。
「チーフ。警告3つです」
私はちょっと緊張しながら報告した。
警告音が3つということは要警戒のサインなのだ。
私たちスタジアム関係者の名誉のためにも言っておきたいんだけど、スタジアムの安全対策はもちろん万全だ。
入場の際に危険なものなどは持ち込めないし、ドームの周囲にも各種センサーが目を光らせている。
ただしこれは、外部からの脅威については、だ。
私は掃除機を構えながら、柱の陰をそぉっと覗きこんだ。
ライトの陰になった一角は暗かった。
「どなたかいますかぁ?」
私の意図を察して、掃除機ヘッドのライトが灯る。頼もしい我が相棒は小型から中型の侵入者くらいなら難なく吸い込んで捕縛してしまうのだ。ありがとね。
「迷い込んだエイリアンさんなら保護しますよー」
迷子ならぬ迷いエイリアンは意外と多い。
外宇宙でも人気のノヴァグラップルは、どうしても現地で見たいという(ありがたい)エイリアンのお客さんも多く、特に天輪聖紀になってからはインバウンドが好調。
でも不慣れな惑星クレイで言葉も通じず、広大なスタジアムからの退場で戸惑っていると取り残されてしまうこともある。当然だよね。だから問いかけの第一声はあくまで丁寧に、お客様の安全第一と私は心がけている。
沈黙。
だけど確かに何かの気配がしている。私のセンサーがオゾンのような臭いを感じているのも怪しい。
しばらく待ってから、私は意を決して乗り出した。
次の試合まで、清掃の残り時間もそれほど多くない。私は正直ちょっと焦っていた。
「失礼しま……す!」
私は踏み出すと掃除機ヘッドを突き出した。
相手が何らかの脅威であれ迷いエイリアンであれ、どちらでも対応できるように。
ライトに照らし出されたもの。
それは金属でできた筒状の物体。内側に強いエネルギーを帯びて、暗闇に放電のようなスパークを放っていた。
Illust:沖路
プラディジャス・カプセル。
私が見つけたのはそういう名前らしい。
闘士として待機していた銀河英勇さんの忘れ物だったそうだ。
力をもたらす大事なカプセルなんでしょ、普通柱の陰なんかに置きっぱなしにする?!
念のため、カプセル回収後も現場に残っていた私はぷりぷり怒っていた。
本当ならとっくにスタッフルームに戻ってクールダウンしている段階のはずなのだ。
「新人だったらしいね。ご苦労様」
チーフは慰めてくれたけど、私の感情ユニットはまだ興奮状態だ。
「君がちゃんと掃除してくれたから、大事にならずにすんだ。銀河英勇からもお詫びと感謝のメッセージが届いているぞ」
どうやら誉められているらしいと気がついて、ちょっと気が晴れた。
「はい。これが私の仕事ですから」
私は(まだ通信だから姿は見えない)チーフに向かって胸を張った。
入場が開始されたらしく、次のお客様たちのざわめきがここにまで聞こえてきた。
「よく言った。だからこそ……」
「君たちもまたノヴァグラップラーなんだ」
でしょ。チーフの次の言葉を当てて私たちは笑った。
ようこそノヴァグラップルスタジアムへ。
楽しんでね。最高の体験のために私たち、また頑張りますから。
※註.気温などの単位は地球のものに換算したものを使用している。プラスチックも同様の製法で作られた地球の素材の名称を借りている。※
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《今回の一口用語メモ》
ノヴァグラップル会場と、スタジアム運営を支えるクルー
本編でリジェリアが解説している掃除の基本、「掃く/吸い取る(拾う)/拭く」。
彼女は自分の仕事として当然のように言っているが、ブラントゲート発祥の総合格闘技イベント「ノヴァグラップル」のスタジアムが舞台となるとそれは容易なことではない。
ノヴァグラップルを観戦するには幾つかの方法があるが、一般的には3つ。
①運営側が世界中のネットワーク局を通じて送るライブ/オンデマンド放送
②チケットを購入してスタジアムで生観戦
③ライブビューイング
このうち②と③はブラントゲート国内の場合、会場がドームスタジアムとなることがほとんどである。
また級が上になるほど、つまり宇宙艦隊戦などの現地立ち会いは難しくなっていくため、ノヴァグラップルという競技イベントの全体的なビュー数からすると①>③>②の順番となる。
だがやはり人気があるのが②の生観戦。
観戦チケットは国内外を問わず人気であり、ファンの熱狂度からすると②≧③>①なのだ。
ここで話はスタジアムと運営、そして清掃に戻る。
生観戦、ライブビューイングを問わず、ノヴァグラップル会場の客席は大変な盛り上がりを見せる。
リジェリアの説明通り、会場ではチケットから包装紙、くじ券まで多くのものに「紙」が使われているために、清掃員たちの取り組むのは主にこの紙ゴミとの戦いと言うことができる。
なお余談だが、ノヴァグラップルの賭けは運営側が厳正に運用しており、合法である。この点は、野心と欲望を煽る闇の国ダークステイツの超過激格闘スポーツ「ギャロウズボール」との違いだ。
清掃について言えば、観客が退場後から次の試合までという時間制限もある中で、ゴミを回収し汚れを落とし、お客様が快適かつ安全に観戦するという目的のために行われる時間との闘いであり、本編のように忘れ物対応もしなくてはならない事からも、彼女たち清掃員も常にノヴァグラップル本戦に勝るとも劣らない真剣勝負に臨んでいるという事ができるだろう。
Illust:かんくろう
ノヴァグラップルのスタジアムを支える会場クルーについては
→ユニットストーリー172 「エンディアリング・ベンダー メイティーナ」
も参照のこと。
ブラントゲートで行われる氷雪の国ならではの娯楽、氷上の釣りについては
→ユニットストーリー084「葬空死団 “裂空神”アーヴァガルダ」
も参照のこと。
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ノヴァグラップルの客席で一番出るゴミは何でしょう?
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はい。正解は「紙」!
意外だった?
ブラントゲートくらいの超科学国でも結局、観戦する客席でよく使われるのは紙なんだよねー。
入場チケット(デジタルが基本だけど紙で発券してもらうのが一番確実だ)、スタジアムグルメの包装から紙コップ、パンフレットやチラシ、グラップルくじ券、メッセージボードや勝者に降り注ぐ紙吹雪まで。軽くて簡単に形を変えられるし丈夫。でも使い終えて捨てる時も回収・分解しやすく、リサイクル可能。もちろんスタジアムグルメには生分解性のプラスチック容器も使われているけどそれでも仕事柄、紙が多いことは実感してる。
さて、そこで。
皆さんが観戦後に捨てたこうしたゴミが、どうしてすぐに消えてなくなるのかと言えば、それは我らワーカロイド清掃員そしてこの私、スパトレス・クリーナー リジェリアの働きなのですっ。
床も手すりも客席も次の試合までに、ピカピカキレイにしちゃいますよ~!

Pi──!!!
張り切って通路に掃除機をかけ始めた瞬間にアラームが鳴り、停止した。
「もう!」
でも私はへこたれない。
清掃員と掃除機の仕事とは、ゴミとの果てしない戦いだからだ。それに忘れ物との。
高性能ロボット掃除機である私の相棒が止まったのは、座席の下から通路の床に転げ落ちてきたある物体を察知したからだ。
掃除の基本は「掃く/吸い取る/拭く」。
私たちが使う掃除機のノズルは吸引力が落ちない構造と優れたフィルターを備え、紙も食べ残しも液体でも吸い込んでキレイに洗浄・乾燥までする。
ただフルパワーで何でもかんでもホースに流せば良いというものでもないんだ。
こういう引きがあるから。
「これなぁに?」
私はかがみ込むと、小さな箱状のそれを持ち上げた。
腰掛ける座席みたいなもの。サイズが小さいのは携帯用?スイッチに「暖房」の表示。
これ、ひょっとして。
「チーフ、リジェリアです。忘れ物、発見」
頬に内装されたインカムをちょんと押して呼びかけた。次が私の推理だ。
「ひょっとして今日、外で釣りに来ているお客様っていませんかー?」

「氷穴釣り大会の真っ最中だそうだ。椅子は別なスタッフに任せるから、君はそのまま続けてくれ。リジェリア」
「了解!」
なるほどね。通信を切った私は納得しながら相棒をONにする。
ブラントゲートで通年好まれる娯楽として『氷穴釣り』がある。
ただ気をつけて!
ドームの外は南極大陸。季節は冬の初め。外の気温がマイナス40℃なんて日もある。
携帯暖房椅子なしで挑むなんて──私たちワーカロイドでさえ機能停止しそう──まさに「命懸けの氷穴釣り!」だ。
お客さん、氷漬けになってないかな?早く届くといいね。
スタジアムの掃除って単調で退屈だと思う?
実際は逆。
まずノヴァグラップルのスタジアムは大抵、とても広い。
これを私たち清掃班は分担して取りかかるのだけれど、それでも広すぎる。
だからまず大事なのはスピード、そして効率。
もちろん急いでいても、さっきのような忘れ物対応も疎かにはできない。
ベンダーのクランクドさん(合い言葉は「目指せ!売り上げ一位!」)やメイティーナちゃんともよく話す事だけど、彼や彼女たちが試合中の客席担当、表ならば私たちは裏方。どちらもお客さんに最高のノヴァグラップル体験をしてもらいたいと心から思っている。
だから万が一にもガムを踏んづけたり、食べ物の包装紙が飛んできたり、飲み残しで床が汚れていたり、バトロイド闘士から脱落したボルトやギアが落ちていたり──どれも自分がお客だったらイヤでしょ──するようなことがないように、私たちは頑張るんだ。
チーフもブリーフィングでよく言っている。
「君たちもまたノヴァグラップラーなんだ」ってね。

Pi・Pi・Pi──!!!
掃除機が止まったのは広い広いスタジアムを回って、あとひと息という所。闘士の控え室近くまで到達した時だった。
「チーフ。警告3つです」
私はちょっと緊張しながら報告した。
警告音が3つということは要警戒のサインなのだ。
私たちスタジアム関係者の名誉のためにも言っておきたいんだけど、スタジアムの安全対策はもちろん万全だ。
入場の際に危険なものなどは持ち込めないし、ドームの周囲にも各種センサーが目を光らせている。
ただしこれは、外部からの脅威については、だ。
私は掃除機を構えながら、柱の陰をそぉっと覗きこんだ。
ライトの陰になった一角は暗かった。
「どなたかいますかぁ?」
私の意図を察して、掃除機ヘッドのライトが灯る。頼もしい我が相棒は小型から中型の侵入者くらいなら難なく吸い込んで捕縛してしまうのだ。ありがとね。
「迷い込んだエイリアンさんなら保護しますよー」
迷子ならぬ迷いエイリアンは意外と多い。
外宇宙でも人気のノヴァグラップルは、どうしても現地で見たいという(ありがたい)エイリアンのお客さんも多く、特に天輪聖紀になってからはインバウンドが好調。
でも不慣れな惑星クレイで言葉も通じず、広大なスタジアムからの退場で戸惑っていると取り残されてしまうこともある。当然だよね。だから問いかけの第一声はあくまで丁寧に、お客様の安全第一と私は心がけている。
沈黙。
だけど確かに何かの気配がしている。私のセンサーがオゾンのような臭いを感じているのも怪しい。
しばらく待ってから、私は意を決して乗り出した。
次の試合まで、清掃の残り時間もそれほど多くない。私は正直ちょっと焦っていた。
「失礼しま……す!」
私は踏み出すと掃除機ヘッドを突き出した。
相手が何らかの脅威であれ迷いエイリアンであれ、どちらでも対応できるように。
ライトに照らし出されたもの。
それは金属でできた筒状の物体。内側に強いエネルギーを帯びて、暗闇に放電のようなスパークを放っていた。

プラディジャス・カプセル。
私が見つけたのはそういう名前らしい。
闘士として待機していた銀河英勇さんの忘れ物だったそうだ。
力をもたらす大事なカプセルなんでしょ、普通柱の陰なんかに置きっぱなしにする?!
念のため、カプセル回収後も現場に残っていた私はぷりぷり怒っていた。
本当ならとっくにスタッフルームに戻ってクールダウンしている段階のはずなのだ。
「新人だったらしいね。ご苦労様」
チーフは慰めてくれたけど、私の感情ユニットはまだ興奮状態だ。
「君がちゃんと掃除してくれたから、大事にならずにすんだ。銀河英勇からもお詫びと感謝のメッセージが届いているぞ」
どうやら誉められているらしいと気がついて、ちょっと気が晴れた。
「はい。これが私の仕事ですから」
私は(まだ通信だから姿は見えない)チーフに向かって胸を張った。
入場が開始されたらしく、次のお客様たちのざわめきがここにまで聞こえてきた。
「よく言った。だからこそ……」
「君たちもまたノヴァグラップラーなんだ」
でしょ。チーフの次の言葉を当てて私たちは笑った。
ようこそノヴァグラップルスタジアムへ。
楽しんでね。最高の体験のために私たち、また頑張りますから。
了
※註.気温などの単位は地球のものに換算したものを使用している。プラスチックも同様の製法で作られた地球の素材の名称を借りている。※
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《今回の一口用語メモ》
ノヴァグラップル会場と、スタジアム運営を支えるクルー
本編でリジェリアが解説している掃除の基本、「掃く/吸い取る(拾う)/拭く」。
彼女は自分の仕事として当然のように言っているが、ブラントゲート発祥の総合格闘技イベント「ノヴァグラップル」のスタジアムが舞台となるとそれは容易なことではない。
ノヴァグラップルを観戦するには幾つかの方法があるが、一般的には3つ。
①運営側が世界中のネットワーク局を通じて送るライブ/オンデマンド放送
②チケットを購入してスタジアムで生観戦
③ライブビューイング
このうち②と③はブラントゲート国内の場合、会場がドームスタジアムとなることがほとんどである。
また級が上になるほど、つまり宇宙艦隊戦などの現地立ち会いは難しくなっていくため、ノヴァグラップルという競技イベントの全体的なビュー数からすると①>③>②の順番となる。
だがやはり人気があるのが②の生観戦。
観戦チケットは国内外を問わず人気であり、ファンの熱狂度からすると②≧③>①なのだ。
ここで話はスタジアムと運営、そして清掃に戻る。
生観戦、ライブビューイングを問わず、ノヴァグラップル会場の客席は大変な盛り上がりを見せる。
リジェリアの説明通り、会場ではチケットから包装紙、くじ券まで多くのものに「紙」が使われているために、清掃員たちの取り組むのは主にこの紙ゴミとの戦いと言うことができる。
なお余談だが、ノヴァグラップルの賭けは運営側が厳正に運用しており、合法である。この点は、野心と欲望を煽る闇の国ダークステイツの超過激格闘スポーツ「ギャロウズボール」との違いだ。
清掃について言えば、観客が退場後から次の試合までという時間制限もある中で、ゴミを回収し汚れを落とし、お客様が快適かつ安全に観戦するという目的のために行われる時間との闘いであり、本編のように忘れ物対応もしなくてはならない事からも、彼女たち清掃員も常にノヴァグラップル本戦に勝るとも劣らない真剣勝負に臨んでいるという事ができるだろう。

ノヴァグラップルのスタジアムを支える会場クルーについては
→ユニットストーリー172 「エンディアリング・ベンダー メイティーナ」
も参照のこと。
ブラントゲートで行われる氷雪の国ならではの娯楽、氷上の釣りについては
→ユニットストーリー084「葬空死団 “裂空神”アーヴァガルダ」
も参照のこと。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡