ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」

聖竜の声はもう聞こえない。
彼の精神がここ惑星クレイではなく、異世界である《地球》にあるからだ。
「ガブエリウス、あなたは私に再びこの世界で生きる時間をくれた」
ドラコニスは紅茶のカップの中、琥珀色の鏡面に反射する天使を見つめながら呟いた。
落ち着いた色調で統一されたカフェテリアのテーブル席。時間は午後遅く。忙しい診察の合間にやっと取れた休憩である。
「そしてあなたは今、ドラコニスとしてここにいる」
独り言に答えがあった。目をあげるとそこには自分と同じ貌がこちらを見つめていた。
「オディウム」「やっと会えた、ドラコニス。同じ病院の中にいるのにね」
琥珀色の瞳に象牙色の髪のオディウムと、鮮やかな群青色の瞳と髪のドラコニス。
2人には共に帯びる名があった。リィエルと。
リィエル記念病院。
医師と職員の休憩スペース、カフェテリアなどは最上階にある。
窓の外、2人の眼下に広がるのは眩しい雪原とその向こうに広がる暗い海。惑星クレイの南半球にある、ここの季節は冬だ。
ブラントゲート領の飛び地として、この一帯はドラゴニア大陸でありながらも寒冷な気候になっている。
ブリッツCEOヴェルストラによって建てられたこの病院は、他のブラントゲートの都市のようにドームに覆われてはいない。一つにはこの緯度ではまだ南極ほど極寒ではないため。もう一つはここが救急や一般を問わず、あらゆる方面から外来患者を広く受け入れるというコンセプトの元に建てられているからだ。
オディウムはコーヒーのカップをテーブルに置き、ドラコニスの対面に座った。
「レザエルは?」
「こちらに向かっているわ。今朝の連絡ではまだ新竜骨越えの途中だったけれど」
「そう。ところでソエルのこと、聞いた?」
「ケテルサンクチュアリ本国からの通達ではしかたないでしょう。レザエルも事情を聞いて、ソエルの召喚は追及や拘束のためではないと確認済みなのだし。きっと程なくソエルにも自由が許されるはず」
「……」
物言いたげなオディウムに対して、ドラコニスの答えはあくまで穏やかだ。
「それでもあなたは不満なのね」
「当然でしょ!国だか組織だか個人だか知らないけど、師弟や病院スタッフとの間を裂く命令なんて、こんなの横暴よ」
「ずいぶん信頼しているのね」ドラコニスは優しく微笑んだ。
「ソエルは患者に寄り添えるし、私たちにも気遣いができるから、いないと困るわ。えぇそうね、頼りにしている。だから不満だし腹も立つの。ひょっとすると私は、他人のことを優先する彼の代わりに怒ってあげているのかも……ねぇちょっと、やめて!カウンセリングじゃないんだから」
オディウムは苦笑して自己分析を止めた。
怒りの元と自分の気持ちについて、ドラコニスに本音を引き出されたのに気がついたのだ。

ドラコニスはギアクロニクルによる長い拘留生活のためか、前身であるアモルタよりもさらに人格の深みが増し、人の心の奥底まで見透すようになっている。実際、医師ドラコニスの懇切丁寧なカウンセリングは、当院でも予約が殺到する診療科目である。
「あなたこそ、どうなのよ」「どういう意味?」
「幸せでしょー、今」
オディウムは頬杖をついて笑った。甘く優しい仕返しだ。
「まぁそうね」
ドラコニスは曖昧に微笑んだ。一方のオディウムはふくれっ面になる。
「なぁに?そこは満面の笑みじゃないの」
他の“リィエル”と同じくらい愛しているレザエルに、ドラコニスとのストイケイア行を後押ししたのは他ならぬオディウムである。手放しで喜んでもらえないと退いた甲斐がない。
困ったように視線を逸らすドラコニス。
あー、なるほど。オディウムは何か思い当たった風で、うんうん頷いた。こういう仕草をするオディウムは子供のように幼く見える。
「レザエルと私たちの所に戻ってきた実感、まだ湧かないんだ。結構時間も経っているのに」
「あなたも優れたカウンセラーね、オディウム」
「褒められついでにアドバイスするなら、逆らわないことね」
「何に?」
「幸せだと感じることに。そして、ふとした瞬間に込みあげてくる不安にも」
ドラコニスは微かに息を飲んだ。生まれ方こそ異なるが、2人は同じ素体を持つ複製。隠し事は不可能である。
「私、いつでも相談に乗るわ。何でも言って、ドラコニス」
「ありがとう。オディウム」
ドラコニスは心からの感謝をこめて妹の手を握った。
会話の内容は知らなくても、周りの医師や職員までが思わず微笑むほど、2人はごく自然に家族だった。

夕闇が迫る頃、ケテルの騎士は病院の門をくぐる人影に早足で追いついた。
「お出かけですか、リィエル゠ドラコニス」
断裂の騎士セリヴァント。槍斧を携えた若い女性である。
ケテルサンクチュアリ防衛省から派遣されたセリヴァントは、この地で勤務する他の騎士と同じく、リィエルに仕えている。
つまり、セリヴァントにとってドラコニスは(前身であるアモルタに続いて)身命を賭して守るべき存在であり、もう一人のリィエル、オディウムとも良好な関係にある。
着任時、その2人に揃って最初に言われたのが「“様”はやめてくださいね」である。
リィエル゠ドラコニスのフルネーム呼びは、ケテルサンクチュアリ本国でも現在リィエルの名自体が尊称扱いであることから、折衷案としてセリヴァントたち騎士が採用したものだ。
「ええ、お散歩に」
「お供させていただきます」
ドラコニスの言葉にセリヴァントは即答した。余計なことは一切聞かない。尊敬するドラコニスへ同行を願い出ることに、迷いなどあるわけもなかった。
「よろしくお願いします」
ドラコニスもそうした事情は聞いている。天使と人間は歩き始めた。
「今夜も本当に月が美しい」
ドラコニスはふと足を止め、角のある頭をあげて空を仰いだ。セリヴァントも倣う。
空はすでに藍色から漆黒へと変わり、雪原に月光が降り注いでいる。
惑星クレイ第1の月は今宵、満月だ。
「でも、あの月がもし密かに病んでいるとしても、私たちには感じることも予防することもできない」
「赫月病といいましたか」
セリヴァントもリィエル記念病院付きの騎士として、奇跡の運命者レザエルらが抱えている問題は知っている。
「『月は赫病み、災いの至るを告ぐ』。月の門番ヴェイズルーグの言葉だそうです」
「赤き月」
セリヴァントはもう一度、中空の月に目を凝らした。ハルバードの穂先にかかる第1の月は悲しいほどに白かった。
「レザエルと私、運命者と宿命者、さらに天輪と封焔の助力まで得て、惑星クレイ世界の運命力の極が総掛かりになっても、まだ確かな手掛かりには辿り着いていない」
「……」
月光の下に佇むドラコニスの言葉を、セリヴァントは黙って聞いていた。
他人は自分を映す鏡だ。騎士は良き鏡であれと士官学校では教わった。偉大なるリィエル゠ドラコニスに比べれば、未熟で非力である自分がふさわしい鏡だとは思えないが、今はせめて良い聞き手でありたかった。
“一時でも肩を並べられること。それは至上の誉れ故に。”
派遣に先立つ面接でバスティオン長官に立候補した理由を問われた時の、これがセリヴァントの答えだ。
「この私にもまだ迷いがある。捕らわれていた間、私を励まし勇気づけてくれたガブエリウスの声ももう聞こえない」
『そして今、助けを求めているのはあなたというわけね』
物思いに沈んでいたドラコニスは顔を上げた。
「今の声は?」
「下がって!何かがいる」
セリヴァントは身を翻して彼女を庇い、構えながら前方に声をあげた。
「何者か?!」

ふわり、と夜気に花びらが舞う。
寒風が温かい微風に、雪原が柔らかな草地と木々が生い茂る森へと変わった。
『真宵楽園』
主は今、天使ドラコニスと騎士セリヴァントの目の前に浮かんでいた。
「楽園へ導く者ナナクリル」
その名を呼んだのはドラコニスだ。
「ようこそ。いえ、お招きに与りましてと言うべきね、リィエル゠ドラコニス」
ナナクリルは長い編み髪を靡かせながら近づくと、突きつけられたハルバードをそっと避けて、まず騎士セリヴァントに触れた。
「忠誠、尊敬そして憧れ。あなたにとってリィエルはおとぎ話の中の人なのね」
「『ユナイテッドサンクチュアリの華リィエル』のことは、いつも母が幼い私に話してくれたものです」
シルフの笑みに、かの謹厳実直なる若き女騎士セリヴァントは唇を噛みしめながら答えた。騎士としてはあるまじき事だが、危うく泣き出しそうだったのだ。
「今夜はドラコニスの良い鏡でしたね。これであなたもおとぎ話の中の人になれた」
ナナクリルに顔を触れられると、うっとりと満足げな表情を浮かべながら、騎士は草地に横たわった。
「さぁこれで2人きり」
満面の笑顔で言われたのでなければ凄みを感じられたかもしれない言葉を、ドラコニスは真面目な顔で受けとめた。
「実は、そろそろ会えるかもしれないと思っていました」
「そして来たわよ。ほら」
ナナクリルが手を広げると柔らかい風と共に芳しい香りが押し寄せてくる。
ドラコニスは深く息を吸い込むと、全身を包む癒やしの力に逆らわずに、すやすやと眠る騎士セリヴァントの側に腰を下ろした。

「それで?ドラコニス。恋人の記憶と運命力から生まれ、世界のために時空法の罪を被り、聖竜ガブエリウスの力を得て帰還し、みんなの感謝と尊敬を一身に受けて」
ナナクリルは一つずつ指折りながら数えていく。
ドラコニスと並んで座る様子は楽園の主人とお客というより、草地で語らう少女たちのようだ。
「そして誰よりも愛し、愛されている。それで何が不安?」
「妹にも言われたわ。実感が湧かないだけでしょうと」「そうでしょうとも」
ドラコニスは微笑み、ナナクリルは笑った。
「あなたは本来なら一番楽園に遠い人」
ナナクリルの断定にドラコニスは目を見開いた。今の言葉には何か引っかかるものがあったようだ。
「なぜならあなたはレザエルが思う“理想の恋人”だから。ストイケイアの泉、紅茶の水面、そして騎士セリヴァントの実直な心に映る“あなた自身”を見て、思ったはず」
「……」
ナナクリルは待った。心の織物は自分自身の言葉の糸で紡がなければならない。
「私は、この世界にいなかった存在なのだと」
そう言って顔を伏せたドラコニスに、ナナクリルは身体ごと寄りかかった。
「悩みすぎじゃないのかなぁ。だってオディウムは悩んでいないじゃない」
「あの娘は強くて情熱的だから……」
「それは、あなただって同じでしょ!」
ナナクリルは、ぐいぐいとドラコニスを肩で押して励ました。
「だから時を超えて帰ってきたんだよね、レザエル大好き天使さん。じゃあ自分の心を信じて、そのまま突き進んじゃえ!」
その子供みたいな仕草と口調に、落ち込んでいたドラコニスもつい笑ってしまう。
「楽園って、こんな癒やし方もするの」
「そうよ。ほら、もう気分が晴れたでしょ。私がどこにでも行くように、あなたは望む所にいていいの。楽園にも、この世界にも」
ドラコニスは目尻を拭きながら、何度も頷いた。
それは喜びの涙か、それとも込み上げてきた別の感情だったのか。
どちらにしても、聖なる時の運命者リィエル゠ドラコニスは満たされていた。
ここにいて良いのだという実感に。
だからドラコニスの次の言葉は心からの感謝に満ちていたし、シルフは喜んでこの新しい友の抱擁を受けとめたのだった。
「おかげで歩き出せそうよ、この世界に。本当にありがとう。楽園へ導く者ナナクリル」
了
※註.紅茶は地球の酷似している発酵茶の名を借りた。これまで度々登場しているコーヒーも同様であり、当然ながら惑星クレイにも様々な産地と銘柄、抽出法がある。※
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《今回の一口用語メモ》
4人目のリィエル──リィエル゠ドラコニスの苦悩とその根源
なぜドラコニスの不安が真宵楽園を“呼び寄せる”ほど大きかったのか。
オディウムでさえその実態に迫れたとはいえない所に、その複雑さが窺える。
ここでは、聖なる時の運命者リィエル゠ドラコニスについて解説し、改めて4人のリィエルについて、振り返ってみる。
※なお宿命決戦の途中段階までの解説は、
ユニットストーリー159「時の運命者 リィエル゠アモルタ IV《全てを知る者》」の《今回の一口用語メモ》
にあり、以下はその改訂版である。
リィエル
国家:ユナイテッドサンクチュアリ 種族:エンジェル
プロフィールと現在
:レザエルの恋人。エンジェルフェザー隊員。今は亡きリィエル。
当時レザエルと並んで世界一と呼ばれた癒やし手。頭脳明晰、才色兼備。
医術の腕だけでなく戦場においても危険を恐れず献身的な姿勢、患者を慈しむ心から
「ユナイテッドサンクチュアリの華」と称され、敬愛された。
レザエルの回想によれば、何事にも積極的な姿勢で臨む人であったらしい。
長く続いたプロディティオの乱、その最後に負傷者を逃がすための盾となって死亡。
その非業の死は全国民を嘆かせたが、レザエルは恋人の身体を完璧に修復した後、永く姿を消した。
レザエルの深く大きな悲しみは、後に零の運命者ブラグドマイヤーが生み出される源となった。
現代のケテルサンクチュアリ国ではリィエルの名は伝説であり、そのまま尊称となっている。
時の宿命者 リィエル゠オディウム
国家:ダークステイツ 種族:エンジェル
プロフィールと現在
:運命大戦がレザエルの勝利に終わった、現在の世界。
つまり運命者リィエル゠アモルタが生まれなかった惑星クレイにおいて、歪んだ時間軸から
かつて封焔の巫女バヴサーガラが集めた《絶望の祈り》、すなわち世界に生ける者の半分にあたる
極めて強い運命力が漏れ出し、(この時間軸では初めて、レザエル達が知る歴史としては2度目に)
ギアクロニクル第99号遺構に注がれ、この場所に葬られていたリィエルの遺体を基に、
偽りの生命と身体を与えられたもの。
なお、このシステム起動によって遺跡に眠っていたギアクロニクル(ギアロイドなど)も復活し、
宿命者リィエル゠オディウムに仕えている。
リィエル゠オディウムは絶望から生まれた故に、その心を占めているのは果てしなく深い絶望。
そして無限の宿命者レヴィドラスから伝え聞いた、レザエルの辿った道についての情報。
リィエル死後の悲しき軌跡を燃料として、彼女が持つレザエルへの愛は烈火のごとく燃え上がった。
彼と彼女自身(リィエル)への激しい怒りの感情となって。
この点が「滅びの未来で死ぬ直前まで、レザエルの全記憶(と互いの真意)」を知るアモルタとの違いだ。
よって宿命者リィエル゠オディウムの狙いはその衝動の赴くまま、
全ての元凶となった自分の“運命”を変える事、すなわちプロディティオの乱まで時翔して、
エンジェルフェザー リィエルが死ななかった時間軸を作ることにあった。
レザエルを倒すことをアモルタに阻まれ、そのアモルタがガブエリウスと共にこの世界から去った後は、
怒りと憎しみを収めてレザエルの側に残り、運命者と宿命者を取り持つ立場になっている。
医術と(滅んだ世界線の)レザエルの知識をアモルタから受け継ぐ、優れた医師。
性格は他のリィエルに比べると幼い印象。活発で情熱家、意外と世話見好きで他人と打ち解けやすい。
時の運命者 リィエル゠アモルタ
国家:ケテルサンクチュアリ 種族:エンジェル
プロフィールと現在
:零の運命者ブラグドマイヤーによって全てが零となった未来から、
まだ滅ぼされていない現在へとやってきた運命者。
滅んだ未来においてブラグドマイヤーの零の虚に巻き込まれ亡くなったレザエルは、
死に際に運命者として集めた膨大な運命力を解放する。
その時の運命力が第99号遺構に流れ込み、永く停止していたギアクロニクルの遺跡を起動。
この場所に葬られていたリィエルの遺体を基に、偽りの生命と身体を与え、
レザエルの全記憶を受け継いだ(後の)時の運命者リィエル゠アモルタは時翔を成功させ、
「まだ滅んでいない現在」に出現した。
なお時翔の結果、ギアクロニクルの遺跡に“卵”となって出現したリィエル゠アモルタは、
その完全復活までCEOヴェルストラに保護され、助力を受けている。
復活した、時の運命者リィエル゠アモルタはレザエルの死の運命を変えるため彼を襲うが果たせず、
その残る力の全てを、運命大戦の最終盤、レザエルがブラグドマイヤーに勝利するために捧げ、消滅した。
その最後の存在の力は零の虚に、1枚の白い羽根の形で残り、復活した。
なお、時の運命者 リィエル゠アモルタはギアクロニクル以外としては稀な時翔の成功者
であり、時間軸の違う未来を知る者、そしてレザエルの全記憶を持つ。そしてそこから構成された意志は、
恋人レザエルが見て、知って、感じた生身の天使から再現されたものであり、結果として
死した「ユナイテッドサンクチュアリの華」リィエルの魂に極めて近いと言える。
それ故に、リィエル゠アモルタが望む《在るべき未来》はブラグドマイヤーと争って死ぬ“運命”にある
レザエルを戦いから遠ざけ、かつての自分=死したリィエルが与えられなかった共に暮らす現在を
叶えようというものだった。
宿命決戦の最終局面では、聖竜ガブエリウスの肉体と、自らの精神を合体させることに成功。
邪竜シヴィルトの精神汚染を受けた無双の魔刃竜 ヴァルガ・ドラグレス “羅刹”を退け、世界を救った。
その後、時空法の罪を一身に背負い、ギアクロニクルの拘留下に自ら進んでその身を置く。
聖なる時の運命者 リィエル゠ドラコニス
国家:ケテルサンクチュアリ 種族:エンジェル
プロフィールと現在
:時の運命者 リィエル゠アモルタが受けたギアクロニクルの拘留は、惑星クレイ世界の時間では本来、
時代が変わってしまうほど長期に渡る予定だった。
この間アモルタを励まし、またギアクロニクルに強くアモルタの減刑と酌量を訴え続けたのが、ガブエリウスの残した精神の一部だった。
聖竜としての力と権威、そして説得力はギアクロニクルを動かし、さらに惑星クレイ側では
オディウムが、あえて(時空法上の混乱の根源だった)零の運命者ブラグドマイヤーに祈らせることで、
ギアクロニクルに強く働きかけることに成功し、その姿はガブエリウスの竜の力を得たものに変わった。
これが「聖なる時の運命者リィエル゠ドラコニス」である。
惑星クレイに帰還したドラコニスは、レザエルとの蜜月期間を過ごし、リィエル記念病院に戻ってからは
(アモルタの頃から持っていた)レザエルの医術と知識を使い、オディウムと共にもっとも優れた医師として
勤務している。
ただ今回、本編で明らかになった事ではあるが、安定した穏やかな人格と、誰からも愛される状況でも
やはり長く惑星クレイを離れていたこと(ギアクロニクルの拘留期間は惑星クレイの時間では計れない)、
自分が本来この世界には属さない存在であること※時の運命者リィエル゠アモルタの項を参照※、
そして素体であるリィエルに替わって複製である自分がレザエルの愛を受けることが、
ドラコニス自身も気づかないうちに、幸福を素直に受け入れられない不安とストレスを
与えていたようである。
宿命決戦の終わりと、聖竜ガブエリウスの肉体との合体。リィエル゠アモルタの退場については
→ユニットストーリー164 宿命決戦第13話「奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ」
を参照のこと。
惑星クレイ側では感知できない事ではあるが、ギアクロニクルの時空監視者ザムーグによって時の外側に連行される様子が、エピローグにある。
ドラコニスの帰還については
→ユニットストーリー203「聖なる時の運命者 リィエル゠ドラコニス」
を参照のこと。
レザエルとドラコニスの蜜月については
→ユニットストーリー204「奇跡の運命者 レザエル IX」
を参照のこと。
ナナクリルと真宵楽園については
→ユニットストーリー201「楽園へ導く者 ナナクリル」
ユニットストーリー208「極光戦姫 セラス・クリアライト」
を参照のこと。
大望の翼ソエルの召喚については
→ユニットストーリー209「武装裁刃 アルスヴェルリーナ」
を参照のこと。
なお、ケテルの女騎士が極寒でも不動を保っている様子としては
→ユニットストーリー084「葬空死団 “裂空神”アーヴァガルダ」
にも天示の騎士 ヴェフリーズ、勇往の天刈 ロンダリアが(CEOヴェルストラの勧めも断って)戸外に待機している状況がある。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡