ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」
夕暮れ。冬の陽が空と山頂の雪を茜色に染めている。
「温泉浴とは、惑星クレイの地殻深部より供給される熱エネルギー、そして地下を循環する水に溶解する鉱物イオンそれぞれの効果により、生物の恒常性維持機構に直接的かつ有益に作用し、健康を増進させるものである」
……ふう。冒険科学士アリウスは深く息をつくと、湯にとぷんと首まで浸かった。
頭には冷たい水で濡らしたタオル。縁の床には木桶。
湯面には色鮮やかな柑橘類がいくつも浮かべられていた。
ここは大きな滝の下流、ゆったりと流れる川沿いの岩場。
湯気があがる広い温かい泉には、雄のドラゴンたちがくつろいでいる。
ひとり科学的な感慨に浸る人間アリウスをよそに、歓声を上げ、はしゃいで湯を掛け合ったり、辺りを駆け回って親に注意されたりしているのは幼いドラゴンたちだ。
秘湯・竜鳴温泉。
ここはドラゴンエンパイア帝国で最も知られた名湯である。

Illust:MINATO
──5日前。ダークステイツ/ドラゴンエンパイア国境近くの宿屋。
「はぁ。この僕に温泉を探しに行けと。セルセーラ様たちはどうするんですか?」
「無論あとで合流する。おまえだけに良い思いをさせるわけなかろう」
でしょうね。アリウスは肩をすくめた。
「でも、竜鳴温泉はすごい山奥にあるという噂です。どこにあるかもわからない秘湯を見つける危険な旅になりますよ」「だから探してこいと言っているのだ。登山は慣れているだろうが」「人使いの荒い師匠のおかげでね。それと、もし辿り着いたとしても今は湯治のシーズンですから家族連れのドラゴンでいっぱいなのでは……」「なんだ。怖いのか」
セルセーラは最強の獣ムーンバックのふかふかの毛皮にもたれながら、弟子を見下ろした。
「いいえ。小さい頃はドラゴンの友達とよく遊んでいましたから。お師匠様、僕がドラゴンエンパイア生まれだってこと忘れていませんか」
「フン!いかにも庶民派らしいことを言いおって。実際は、豪商の家に生まれたボンボンだろうが」「……褒め言葉として受け取りますね」
アリウスは嘆息をついて話を戻した。どこかで区切っておかないと、師匠の悪口には際限が無い。
「それで、僕が先に竜鳴温泉に行って何をすれば良いのですか」
「うむ。実は事件なのだ、アリウス」「ほー」「弟子が師匠にナメた返事をするな。ここは『何が起こったのですか?お師匠様』と身を乗り出す所だぞ」「はいはい。で、『何が起こったのですか?お師匠様』」
「それは私がご説明しましょう」
賢者の杖マクガフィンが唐突に喋り始めた。
「実は最近、竜鳴温泉に白い霧が出るというのです。そして怪しい人影も」
冒険科学士の表情がぴんと張りつめた。
──現在(3日間山中をさまよって辿り着いた、竜鳴温泉逗留2日目)。
「白・い・霧です!いやただの霧じゃなくて、最近ドラゴンエンパイアの各地で目撃されているという蠢く靄か雲のような、それがいきなり包みこんで生き物を狂わせるという恐ろしい……あの、僕の声聞こえてます?寝てませんか~?」
浴衣に着替えたアリウスは、岩盤浴をしている老竜に話しかけ続けていた。
知らない、と結局そっぽを向かれてしまった竜に礼を言い、アリウスは人間用の籐椅子に座り込んだ。
「こんな所で遊んでいる場合じゃないのに。まったく」
かたわらに置かれた牛乳瓶を傾けながら呟くアリウスは健康そうに上気しているのに、表情は今ひとつ冴えない。幼竜、若竜、老竜とこの温泉に集うドラゴンたちに片っ端から聞いてみたのだけど、手掛かりはなにもなかったのだ。
とはいえ、温泉の質と効能は評判通りのものだった。
なにしろこの竜鳴の湯を浴んだ子竜は、強く逞しく育つというくらいなので、人間にも活性化と癒やしの効果は絶大である。
『セルセーラ様はああおっしゃっていますが、アリウスに休暇をプレゼントしたいのですよ』
旅発つ前、賢者の杖マクガフィンに呼び止められ告げられた言葉にも(何しろ日頃の扱いが雑で酷使がすぎるので)、
「本当かなぁ……」
にわかには信じられなかったアリウスだったが、こうして夜の帳が降りる秘湯のほとりで火照った身体を冷ましていると、師匠の心遣いという杖マクガフィンの説もありか、という気持ちになっていた。
何しろ併設された人型種族用の宿に泊まるには十分なお金を持たされていたし、“後から来る”という割に水晶玉で送った報告への返信も「わかった。そのまま待て」と素っ気ないもの。
結果として聞き込み以外は丸2日間、温泉宿の逗留、周囲の科学的自然観察で羽根を伸ばすことができた。
パシャ!
くつろいでいるアリウスの耳に、軽やかな水音が聞こえてきたのはその時だった。

Illust:豆沢
「こんばんは。ボクはソーキング・ドラコキッドです。竜鳴温泉にようこそ、アリウス君」
「僕の名前を知っているの?」
とアリウス。質問してから自分がこの2日間、どれだけの数のドラゴンに声をかけたかに気がついて思わず苦笑いしてしまった。
小柄なティアードラゴンもそれに答えて笑った。
「もちろん。セルセーラ師匠とアリウス君の活躍を知っている竜は多いよ。君が元々ドラゴンエンパイアの人なのも」
えへへ、そうなんだ~。とデレデレするアリウスだが、次の竜の言葉でまた顔を引き締めた。
「それで、君が白い霧について調べてるって聞いたので会いに来たんだ」
「何か知っているの?」
「噂では昨日、近くの山に現れたとか。ボクら地元の竜も警戒はしているんだ。でもホラ、ここはボクらが“水の結界”も作れるから」
ソーキング・ドラコキッドが手を広げ、身をくねらせると温泉の湯が生き物のように彼にまとわりついた。
「なるほど。ストイケイアの森も、マグノリア王や宿命王レヴィドラスが治めている場所では被害報告はないみたいだし。強い魔法力や運命力もあの霧には有効なのかもしれないね」
アリウスが荷物から取り出した水晶玉の地図とデータベースを表示させ、推測コメントを入力して天輪/運命者/宿命者ネットに共有する様子を、ティアードラゴンも興味津々で見つめる。
「どうもありがとう!お師匠様が到着したら捜査範囲を広げてみるよ。本当に助かった」
「どういたしまして。あとはね。怪しい人影についてなんだけど……」
「え?!それも情報があるの?」
アリウスはますます前のめりになった。

Design:三越はるは Illust:カエルDX
「ダークステイツからの侵入者?それって僕のことじゃないよね」
浴衣から慌ただしく服装と装備を整えたアリウスは苦笑いした。
「もちろん違うよ。でもこの温泉に来る人はどこの国からもほとんどが湯治のために来るから」
「違う目的を持って踏み入る者はわかりやすいってことだね」
「そういうこと。じゃあ気をつけて」
湯船の上に浮遊するソーキング・ドラコキッドに別れの手を振りながら、アリウスは温泉の下流にある沢を目指して歩き始めた。
宵の口とはいえ、つめかけた湯治客と川の両岸に並ぶ(人や竜それぞれの)宿の賑わいで周辺はまだ明るい。
散り遅れた紅葉の赤や黄色が残る遊歩道には薄く雪も積もり、幻想的な冬山の景色が広がっている。
「でもこんな休暇も今日で終わりだね」
そう呟くアリウスはもうすっかりベテランの冒険科学士だ。
右眼の片眼鏡を引き下ろし、センサーを作動させ、万能スティックを体前に構える。
道が森に入るあたりで反応があった。アリウスが足を止める。
左手の藪に不可視の何かがあった。
「魔法のカーテン。よくできた目くらましだな」
アリウスはスティックを対魔法戦用に切り替え、警戒しながら張り巡らされた魔法の帳に手をかけて、そっと引き、そして目の前の光景に息を呑んだ。
森の中、魔法のカーテンに包まれ周囲から隠されていた内部は、巨大な書庫だった。
『積み重なりし偉大なる学識』。
アリウスはセルセーラも使っている、それの名を知っていた(師匠は決して中に入れてはくれないけれど)。

Illust:ゾウノセ
“綴られた数多の学識にて、迫る壁を乗り越えよ”
ダークステイツの魔法使いたちは人生の困難に際してこの言葉を掲げ、頼るべき物として「力ある書物(魔導書)」を宝とする。
魔法使いにとって魔導書は知識の源泉であり魔術の教本、儀式では魔力の媒体となり、魔物を召喚する際にも欠かせない必須のアイテムなのだ。
そしてこの常識を知ると一つの疑問が湧く。
高いレベルの魔法使いほど、その蔵書は膨大で持ち歩くことなど不可能になるのではないか。
答えは二つ。
一つは、ダークステイツの魔術街、錬金術街にある魔法使いたちの邸の有様。つまりは「その通り」だ。
そこは書斎や実験室の棚だけでなく、住居の床から天井までが貴重な書物で埋もれる空間。これこそ絵に描いたような「魔法使いの家」だ。そして魔術の研鑽を積めば積むほど、宝の山を抱えた高位の術者は盗賊を警戒するあまり、家から出られなくなる(力こそ正義のダークステイツでは成功した盗みを他者から責められることが少ないからだ)。
もう一つ。
それは「書庫の魔法」を修得することによる解決。
これによって魔法使いは、蔵書と書庫そのものを魔法の空間に閉じ込めて、自由に移動することができる。
つまりこの『積み重なりし偉大なる学識』は、魔法使いである誰かが秘湯・竜鳴温泉の森に置いた移動可能な個人書庫あるいは書斎なのだった。
「はぁ~い、そこのボク。ここに入って来れちゃうってコトはちょっとデキル子なのかなぁ」

Illust:カエルDX
突然、頭上から降ってきた声にアリウスが身構えたのは、長い旅で鍛えられた経験と度胸のなせる技だ。
「ん~?お名前言えるかなぁ~」
師匠の表現を借りればこちらをナメきった、しかし可愛らしいことは否定できない声の持ち主は、書庫の天井近くにいた。
それは人間大であることを除けば、「鳥かご」だった。
止まり木に座っているのは、フリフリの小悪魔的なドレスにハートをあしらった髪飾り、短い魔法の杖をキャンディのように舐めている少女だった。
「冒険科学士アリウス」
よく言えましたねー、少女は小さく拍手して笑った。
「あなたは」
「私は窮追の魔道士ラズリィ。ちゃんとお答えできたからアリウス君はラズリィちゃんって呼んでいいよぉ」
「ではラズリィさん」「ダメ!ラズリィちゃん」「ラズリィさん」「ダメダメ!ラズリィちゃんだってば」
もー、とラズリィはちょっと膨れ、アリウスは不毛な会話に頭を抱えた。
「怪しい人が出没するって聞いて来たのに……」
「なぁに怪しいって。失礼しちゃう」
アリウスはラズリィを、どうやら魔法アイテムをもってドラゴンエンパイア温泉地を旅しているだけの魔法少女と判断して、気持ちを切り替えた。
「実は僕、ドラゴンエンパイアや他の国で目撃されている白い霧について調べていて」
「いきなり本題いっちゃう?セルセーラお師匠様のご命令で、でしょ」
アリウスはいきなり核心をつかれて、カッと目を見開いた。
「ふふふ。私のことおバカさんだって思ってたでしょ~。情報収集は得意なんだ。ラズリィちゃん頭いいーっ」
表情の選択に困っているアリウスに、ラズリィは追い打ちをかける。
「白い霧。そっかぁ白い霧ねぇ。あれには私もちょっと興味あるんだよ」
「! 協力してもらえますか」
ラズリィは、うーんと首を傾げた。
「タダじゃ面白くないよね。お互いダークステイツの人間なんだし、ここはガチでハードにぃ」
ガチでハードな代償とは何だ。金品か腕試し(つまり命がけ)か。
止まり木で足をぶらぶらさせて微笑むラズリィの次の言葉を、アリウスは緊張して待った。ドレスの際どいラインなどに惑わされはしない。今は非常時で、アリウスは科学者なのだ。
「……」
「出口当てゲーム!きゃー!ガチでハードじゃん、ヤバーイ!パチパチパチ~!」
は?目が点になって立ち尽くすアリウスに構わず、盛り上がっているラズリィは説明を続ける。
「アリウス君、この書庫『積み重なりし偉大なる学識』については知っているよね。要は魔力で空間を歪めて、キャリーバッグくらいの大きさで持ち運びできるようにしてるワケ。今みたいに私が中にいる間は広げてるのよね。で、今からそれを閉じちゃいまーす」
「!」
「安心して。この部屋には幾つか抜け穴があるから。……あ、でもたった一つの正解は私以外にはちょっと見つけるのが難しいかもねー。タイムリミットは30秒。その間に脱出しないと」
(しないと?)
ぶっ飛んだダークステイツの魔法少女は怖い笑みを浮かべ、アリウスは万能スティックを構え直した。
「この部屋ごと、ぎゅーっとしちゃいます!じゃ頑張って、アリウス君!」
窮追の魔道士ラズリィは金色の光の粒になって消え(そもそも座っていた彼女は実体だったのだろうか?)、次の瞬間ギシギシ音を立てて、書棚の部屋が縮み始めた。
「探知!」
アリウスは片眼鏡に叫んで見回し、右下の引き出しに反応を見つけた。
手を伸ばし、開ける。
『ハ・ズ・レ♡』
アリウスは引き出しの底に貼ってある文字を見た途端に踵を返した。
「再探知!!」
左手、3段目の本3冊の後ろが空洞。
走り寄るとまとめて書棚の本を剥ぎ取り、覗きこむ。
『私から逃げられると思ったのぉ?ざーんねんでしたぁ♡』
空洞の奥に安置されていたちょいキモなラズリィ人形がケタケタ笑い、アリウスは絶望のあまり天を仰ぎ、そしてあるものを見た。
「!」
落ち着け。おそらくあと1回が限界だ。
「最終探知!!!」
冒険科学士は縮みゆく魔法の書庫の真ん中でうずくまり、拳を握った。
万能スティックの緊急機能が働き、体内のアドレナリン分泌量が上昇。目は見開かれ、全身の筋肉が次の爆発的な動きに備えて緊張する。
「科学の力で抜けてみせる!絶対に!」
それは師匠セルセーラや獣ムーンバック、喋る杖のマクガフィンが見たら驚愕したであろう、アリウス本気の瞬間だった。
そして、巨大な書庫は、轟音とともに、一気に縮んだ。

Illust:三越はるは
「セルセーラ様」
窮追の魔道士ラズリィは、先ほどまでの弾けた様子が打って変わり、ダークステイツの魔法使いならば敬意を表さずにはいられない相手に、優雅に礼を捧げた。
「うむ。汝が手腕、確かに見届けた。では、白い霧についての調査を手伝ってもらうぞ。ラズリィ」
「ありがたき幸せ」
ラズリィが嬉しそうに笑うと彼女の本来の年齢、つまりまだほんの少女であることが窺えた。
「そして我が不肖の弟子だが」
──あっ!!
彼方から響く声が急激に近づき、キャリーバッグが激しく波打つと、
ボンッ!
まるで吐き出されるように突然アリウスの姿が出現し、空に放り出されて、背中から落下した。
「ぐふっ」
咳き込むアリウスをそれぞれの表情で見守った、
「おめでとう、アリウス君」とラズリィ。
「無事で何より」と賢者の杖マクガフィン。
笑うように低く吼えるムーンバック。
「あぃ痛たた……」
起きあがったアリウスに、ここでようやくセルセーラから声がかかった。
「脱出できたか。あやうく永遠に書庫の管理人となる所だったなぁ、アリウスよ」
アリウスは憤然と立ちあがった。
「何言ってるんですか!助けてくださいよ!」
最後の瞬間、天井に見つけていた僅かな空間のほころびを目指し、一か八か飛んで難を逃れたのである。
「そう。あれこそが唯一の出口よ。やるじゃん、アリウス」
「よくやったぞ、アリウス。おかげで協力者を得られた」
「は?」
「おまえを待つ間に(ラズリィの本体がいる)こちら側で賭けをしたのだ。おまえが閉じ込められればラズリィの勝ち」
「弟子になりそこなっちゃいましたー。ぜんぜん諦めてないですけどねっ」
「……僕が脱出できれば」
「白い霧とこの周辺の異変について、ラズリィちゃん知ってること全部教えちゃいますぅ」
アリウスはがくりと肩を落とした。
「で。見てたんですね。僕が必死で脱出するまでを」
そうだ、とセルセーラは頷くとマントを翻し、歩き出した。
「お師匠様、どちらに?」「温泉だ。決まっておろうが」
「きゃー!私もご一緒いたしますぅ」とラズリィ。
「いや、僕はもう沢山入りましたから」「そうだ、おまえが入るのではない」「はぁ?」「むーちゃん(ムーンバックの愛称)は海水はダメだが温泉は大好きなのだ。背中を流せ」「えーっ?!」
背後で騒ぎ立てるアリウスには目もくれず、皆は楽しげに秘湯・竜鳴温泉へと歩き出した。
夜は更けて、秘湯を抱く山の端に白い第1の月が昇る。
その下の温泉に閃く光は、温泉の守り手ソーキング・ドラコキッドが跳ね上げる湯のしぶきであろう。
知の探究者セルセーラ一行の楽しい湯治は今、始まったばかりだ。
※註.牛乳については、惑星クレイにも乳牛に酷似した動物とその乳を利用する習慣があるので、地球の呼び方を使用した。※
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《今回の一口用語メモ》
惑星クレイの温泉
火山活動とは、充分な大気と水があり、生物が生存可能なハビタブル惑星にとって、星自体のエネルギーの現れと言ってもいい。
そして温泉は生命誕生の起源といわれ、太古の昔から生物を癒やし、活力を増進させる場所であり続けた。
惑星クレイもまた地球同様、各地に温泉が湧き、人や獣など生き物が集う場所となっている。
今回の舞台となったドラゴンエンパイア「秘湯・竜鳴温泉」もその一つだ。
ただし惑星クレイの温泉は、ただの癒やしの場ではない。
ソーキング・ドラコキッドが述べている通り、力ある竜の結界に守られている「秘湯・竜鳴温泉」などは特に、竜(特に幼竜が力を蓄え強く育つため)や人が外敵に脅かされず、安心して心身を癒すことができる一種の聖域であり、種族を超えて親睦を深められる場所だとも言えるだろう。
トリクスタと焔の巫女たちが、ドラゴンエンパイア北都近くの温泉に滞在したことについては
→ユニットストーリー081「ディアブロス“爆轟”ブルース」
を参照のこと。
ヴェルストラが、温泉地でもあるセントラルドーム郊外にある別荘にバスティオンを泊めたことについては
→ユニットストーリー084「葬空死団 “裂空神”アーヴァガルダ」
を参照のこと。
ディアブロス ブルースがダークステイツの迅骸谷温泉を訪れたことについては
→ユニットストーリー100「迅骸魔境の闘戦鬼」
を参照のこと。
セルセーラ、アリウス一行については
→世界観/世界観コラム ─ セルセーラ秘録図書館
→ユニットストーリー188「知の探究者 セルセーラ」
ユニットストーリー080「終わりの始まり」
ユニットストーリー167「魔道君主 ヴァサーゴ」
を参照のこと。
ダークステイツの魔法使いについては
→ユニットストーリー220「ソーマタージ・プロディジー」の《今回の一口用語メモ》
を参照のこと。
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「温泉浴とは、惑星クレイの地殻深部より供給される熱エネルギー、そして地下を循環する水に溶解する鉱物イオンそれぞれの効果により、生物の恒常性維持機構に直接的かつ有益に作用し、健康を増進させるものである」
……ふう。冒険科学士アリウスは深く息をつくと、湯にとぷんと首まで浸かった。
頭には冷たい水で濡らしたタオル。縁の床には木桶。
湯面には色鮮やかな柑橘類がいくつも浮かべられていた。
ここは大きな滝の下流、ゆったりと流れる川沿いの岩場。
湯気があがる広い温かい泉には、雄のドラゴンたちがくつろいでいる。
ひとり科学的な感慨に浸る人間アリウスをよそに、歓声を上げ、はしゃいで湯を掛け合ったり、辺りを駆け回って親に注意されたりしているのは幼いドラゴンたちだ。
秘湯・竜鳴温泉。
ここはドラゴンエンパイア帝国で最も知られた名湯である。

Illust:MINATO
──5日前。ダークステイツ/ドラゴンエンパイア国境近くの宿屋。
「はぁ。この僕に温泉を探しに行けと。セルセーラ様たちはどうするんですか?」
「無論あとで合流する。おまえだけに良い思いをさせるわけなかろう」
でしょうね。アリウスは肩をすくめた。
「でも、竜鳴温泉はすごい山奥にあるという噂です。どこにあるかもわからない秘湯を見つける危険な旅になりますよ」「だから探してこいと言っているのだ。登山は慣れているだろうが」「人使いの荒い師匠のおかげでね。それと、もし辿り着いたとしても今は湯治のシーズンですから家族連れのドラゴンでいっぱいなのでは……」「なんだ。怖いのか」
セルセーラは最強の獣ムーンバックのふかふかの毛皮にもたれながら、弟子を見下ろした。
「いいえ。小さい頃はドラゴンの友達とよく遊んでいましたから。お師匠様、僕がドラゴンエンパイア生まれだってこと忘れていませんか」
「フン!いかにも庶民派らしいことを言いおって。実際は、豪商の家に生まれたボンボンだろうが」「……褒め言葉として受け取りますね」
アリウスは嘆息をついて話を戻した。どこかで区切っておかないと、師匠の悪口には際限が無い。
「それで、僕が先に竜鳴温泉に行って何をすれば良いのですか」
「うむ。実は事件なのだ、アリウス」「ほー」「弟子が師匠にナメた返事をするな。ここは『何が起こったのですか?お師匠様』と身を乗り出す所だぞ」「はいはい。で、『何が起こったのですか?お師匠様』」
「それは私がご説明しましょう」
賢者の杖マクガフィンが唐突に喋り始めた。
「実は最近、竜鳴温泉に白い霧が出るというのです。そして怪しい人影も」
冒険科学士の表情がぴんと張りつめた。
──現在(3日間山中をさまよって辿り着いた、竜鳴温泉逗留2日目)。
「白・い・霧です!いやただの霧じゃなくて、最近ドラゴンエンパイアの各地で目撃されているという蠢く靄か雲のような、それがいきなり包みこんで生き物を狂わせるという恐ろしい……あの、僕の声聞こえてます?寝てませんか~?」
浴衣に着替えたアリウスは、岩盤浴をしている老竜に話しかけ続けていた。
知らない、と結局そっぽを向かれてしまった竜に礼を言い、アリウスは人間用の籐椅子に座り込んだ。
「こんな所で遊んでいる場合じゃないのに。まったく」
かたわらに置かれた牛乳瓶を傾けながら呟くアリウスは健康そうに上気しているのに、表情は今ひとつ冴えない。幼竜、若竜、老竜とこの温泉に集うドラゴンたちに片っ端から聞いてみたのだけど、手掛かりはなにもなかったのだ。
とはいえ、温泉の質と効能は評判通りのものだった。
なにしろこの竜鳴の湯を浴んだ子竜は、強く逞しく育つというくらいなので、人間にも活性化と癒やしの効果は絶大である。
『セルセーラ様はああおっしゃっていますが、アリウスに休暇をプレゼントしたいのですよ』
旅発つ前、賢者の杖マクガフィンに呼び止められ告げられた言葉にも(何しろ日頃の扱いが雑で酷使がすぎるので)、
「本当かなぁ……」
にわかには信じられなかったアリウスだったが、こうして夜の帳が降りる秘湯のほとりで火照った身体を冷ましていると、師匠の心遣いという杖マクガフィンの説もありか、という気持ちになっていた。
何しろ併設された人型種族用の宿に泊まるには十分なお金を持たされていたし、“後から来る”という割に水晶玉で送った報告への返信も「わかった。そのまま待て」と素っ気ないもの。
結果として聞き込み以外は丸2日間、温泉宿の逗留、周囲の科学的自然観察で羽根を伸ばすことができた。
パシャ!
くつろいでいるアリウスの耳に、軽やかな水音が聞こえてきたのはその時だった。

Illust:豆沢
「こんばんは。ボクはソーキング・ドラコキッドです。竜鳴温泉にようこそ、アリウス君」
「僕の名前を知っているの?」
とアリウス。質問してから自分がこの2日間、どれだけの数のドラゴンに声をかけたかに気がついて思わず苦笑いしてしまった。
小柄なティアードラゴンもそれに答えて笑った。
「もちろん。セルセーラ師匠とアリウス君の活躍を知っている竜は多いよ。君が元々ドラゴンエンパイアの人なのも」
えへへ、そうなんだ~。とデレデレするアリウスだが、次の竜の言葉でまた顔を引き締めた。
「それで、君が白い霧について調べてるって聞いたので会いに来たんだ」
「何か知っているの?」
「噂では昨日、近くの山に現れたとか。ボクら地元の竜も警戒はしているんだ。でもホラ、ここはボクらが“水の結界”も作れるから」
ソーキング・ドラコキッドが手を広げ、身をくねらせると温泉の湯が生き物のように彼にまとわりついた。
「なるほど。ストイケイアの森も、マグノリア王や宿命王レヴィドラスが治めている場所では被害報告はないみたいだし。強い魔法力や運命力もあの霧には有効なのかもしれないね」
アリウスが荷物から取り出した水晶玉の地図とデータベースを表示させ、推測コメントを入力して天輪/運命者/宿命者ネットに共有する様子を、ティアードラゴンも興味津々で見つめる。
「どうもありがとう!お師匠様が到着したら捜査範囲を広げてみるよ。本当に助かった」
「どういたしまして。あとはね。怪しい人影についてなんだけど……」
「え?!それも情報があるの?」
アリウスはますます前のめりになった。

Design:三越はるは Illust:カエルDX
「ダークステイツからの侵入者?それって僕のことじゃないよね」
浴衣から慌ただしく服装と装備を整えたアリウスは苦笑いした。
「もちろん違うよ。でもこの温泉に来る人はどこの国からもほとんどが湯治のために来るから」
「違う目的を持って踏み入る者はわかりやすいってことだね」
「そういうこと。じゃあ気をつけて」
湯船の上に浮遊するソーキング・ドラコキッドに別れの手を振りながら、アリウスは温泉の下流にある沢を目指して歩き始めた。
宵の口とはいえ、つめかけた湯治客と川の両岸に並ぶ(人や竜それぞれの)宿の賑わいで周辺はまだ明るい。
散り遅れた紅葉の赤や黄色が残る遊歩道には薄く雪も積もり、幻想的な冬山の景色が広がっている。
「でもこんな休暇も今日で終わりだね」
そう呟くアリウスはもうすっかりベテランの冒険科学士だ。
右眼の片眼鏡を引き下ろし、センサーを作動させ、万能スティックを体前に構える。
道が森に入るあたりで反応があった。アリウスが足を止める。
左手の藪に不可視の何かがあった。
「魔法のカーテン。よくできた目くらましだな」
アリウスはスティックを対魔法戦用に切り替え、警戒しながら張り巡らされた魔法の帳に手をかけて、そっと引き、そして目の前の光景に息を呑んだ。
森の中、魔法のカーテンに包まれ周囲から隠されていた内部は、巨大な書庫だった。
『積み重なりし偉大なる学識』。
アリウスはセルセーラも使っている、それの名を知っていた(師匠は決して中に入れてはくれないけれど)。

Illust:ゾウノセ
“綴られた数多の学識にて、迫る壁を乗り越えよ”
ダークステイツの魔法使いたちは人生の困難に際してこの言葉を掲げ、頼るべき物として「力ある書物(魔導書)」を宝とする。
魔法使いにとって魔導書は知識の源泉であり魔術の教本、儀式では魔力の媒体となり、魔物を召喚する際にも欠かせない必須のアイテムなのだ。
そしてこの常識を知ると一つの疑問が湧く。
高いレベルの魔法使いほど、その蔵書は膨大で持ち歩くことなど不可能になるのではないか。
答えは二つ。
一つは、ダークステイツの魔術街、錬金術街にある魔法使いたちの邸の有様。つまりは「その通り」だ。
そこは書斎や実験室の棚だけでなく、住居の床から天井までが貴重な書物で埋もれる空間。これこそ絵に描いたような「魔法使いの家」だ。そして魔術の研鑽を積めば積むほど、宝の山を抱えた高位の術者は盗賊を警戒するあまり、家から出られなくなる(力こそ正義のダークステイツでは成功した盗みを他者から責められることが少ないからだ)。
もう一つ。
それは「書庫の魔法」を修得することによる解決。
これによって魔法使いは、蔵書と書庫そのものを魔法の空間に閉じ込めて、自由に移動することができる。
つまりこの『積み重なりし偉大なる学識』は、魔法使いである誰かが秘湯・竜鳴温泉の森に置いた移動可能な個人書庫あるいは書斎なのだった。
「はぁ~い、そこのボク。ここに入って来れちゃうってコトはちょっとデキル子なのかなぁ」

Illust:カエルDX
突然、頭上から降ってきた声にアリウスが身構えたのは、長い旅で鍛えられた経験と度胸のなせる技だ。
「ん~?お名前言えるかなぁ~」
師匠の表現を借りればこちらをナメきった、しかし可愛らしいことは否定できない声の持ち主は、書庫の天井近くにいた。
それは人間大であることを除けば、「鳥かご」だった。
止まり木に座っているのは、フリフリの小悪魔的なドレスにハートをあしらった髪飾り、短い魔法の杖をキャンディのように舐めている少女だった。
「冒険科学士アリウス」
よく言えましたねー、少女は小さく拍手して笑った。
「あなたは」
「私は窮追の魔道士ラズリィ。ちゃんとお答えできたからアリウス君はラズリィちゃんって呼んでいいよぉ」
「ではラズリィさん」「ダメ!ラズリィちゃん」「ラズリィさん」「ダメダメ!ラズリィちゃんだってば」
もー、とラズリィはちょっと膨れ、アリウスは不毛な会話に頭を抱えた。
「怪しい人が出没するって聞いて来たのに……」
「なぁに怪しいって。失礼しちゃう」
アリウスはラズリィを、どうやら魔法アイテムをもってドラゴンエンパイア温泉地を旅しているだけの魔法少女と判断して、気持ちを切り替えた。
「実は僕、ドラゴンエンパイアや他の国で目撃されている白い霧について調べていて」
「いきなり本題いっちゃう?セルセーラお師匠様のご命令で、でしょ」
アリウスはいきなり核心をつかれて、カッと目を見開いた。
「ふふふ。私のことおバカさんだって思ってたでしょ~。情報収集は得意なんだ。ラズリィちゃん頭いいーっ」
表情の選択に困っているアリウスに、ラズリィは追い打ちをかける。
「白い霧。そっかぁ白い霧ねぇ。あれには私もちょっと興味あるんだよ」
「! 協力してもらえますか」
ラズリィは、うーんと首を傾げた。
「タダじゃ面白くないよね。お互いダークステイツの人間なんだし、ここはガチでハードにぃ」
ガチでハードな代償とは何だ。金品か腕試し(つまり命がけ)か。
止まり木で足をぶらぶらさせて微笑むラズリィの次の言葉を、アリウスは緊張して待った。ドレスの際どいラインなどに惑わされはしない。今は非常時で、アリウスは科学者なのだ。
「……」
「出口当てゲーム!きゃー!ガチでハードじゃん、ヤバーイ!パチパチパチ~!」
は?目が点になって立ち尽くすアリウスに構わず、盛り上がっているラズリィは説明を続ける。
「アリウス君、この書庫『積み重なりし偉大なる学識』については知っているよね。要は魔力で空間を歪めて、キャリーバッグくらいの大きさで持ち運びできるようにしてるワケ。今みたいに私が中にいる間は広げてるのよね。で、今からそれを閉じちゃいまーす」
「!」
「安心して。この部屋には幾つか抜け穴があるから。……あ、でもたった一つの正解は私以外にはちょっと見つけるのが難しいかもねー。タイムリミットは30秒。その間に脱出しないと」
(しないと?)
ぶっ飛んだダークステイツの魔法少女は怖い笑みを浮かべ、アリウスは万能スティックを構え直した。
「この部屋ごと、ぎゅーっとしちゃいます!じゃ頑張って、アリウス君!」
窮追の魔道士ラズリィは金色の光の粒になって消え(そもそも座っていた彼女は実体だったのだろうか?)、次の瞬間ギシギシ音を立てて、書棚の部屋が縮み始めた。
「探知!」
アリウスは片眼鏡に叫んで見回し、右下の引き出しに反応を見つけた。
手を伸ばし、開ける。
『ハ・ズ・レ♡』
アリウスは引き出しの底に貼ってある文字を見た途端に踵を返した。
「再探知!!」
左手、3段目の本3冊の後ろが空洞。
走り寄るとまとめて書棚の本を剥ぎ取り、覗きこむ。
『私から逃げられると思ったのぉ?ざーんねんでしたぁ♡』
空洞の奥に安置されていたちょいキモなラズリィ人形がケタケタ笑い、アリウスは絶望のあまり天を仰ぎ、そしてあるものを見た。
「!」
落ち着け。おそらくあと1回が限界だ。
「最終探知!!!」
冒険科学士は縮みゆく魔法の書庫の真ん中でうずくまり、拳を握った。
万能スティックの緊急機能が働き、体内のアドレナリン分泌量が上昇。目は見開かれ、全身の筋肉が次の爆発的な動きに備えて緊張する。
「科学の力で抜けてみせる!絶対に!」
それは師匠セルセーラや獣ムーンバック、喋る杖のマクガフィンが見たら驚愕したであろう、アリウス本気の瞬間だった。
そして、巨大な書庫は、轟音とともに、一気に縮んだ。

Illust:三越はるは
「セルセーラ様」
窮追の魔道士ラズリィは、先ほどまでの弾けた様子が打って変わり、ダークステイツの魔法使いならば敬意を表さずにはいられない相手に、優雅に礼を捧げた。
「うむ。汝が手腕、確かに見届けた。では、白い霧についての調査を手伝ってもらうぞ。ラズリィ」
「ありがたき幸せ」
ラズリィが嬉しそうに笑うと彼女の本来の年齢、つまりまだほんの少女であることが窺えた。
「そして我が不肖の弟子だが」
──あっ!!
彼方から響く声が急激に近づき、キャリーバッグが激しく波打つと、
ボンッ!
まるで吐き出されるように突然アリウスの姿が出現し、空に放り出されて、背中から落下した。
「ぐふっ」
咳き込むアリウスをそれぞれの表情で見守った、
「おめでとう、アリウス君」とラズリィ。
「無事で何より」と賢者の杖マクガフィン。
笑うように低く吼えるムーンバック。
「あぃ痛たた……」
起きあがったアリウスに、ここでようやくセルセーラから声がかかった。
「脱出できたか。あやうく永遠に書庫の管理人となる所だったなぁ、アリウスよ」
アリウスは憤然と立ちあがった。
「何言ってるんですか!助けてくださいよ!」
最後の瞬間、天井に見つけていた僅かな空間のほころびを目指し、一か八か飛んで難を逃れたのである。
「そう。あれこそが唯一の出口よ。やるじゃん、アリウス」
「よくやったぞ、アリウス。おかげで協力者を得られた」
「は?」
「おまえを待つ間に(ラズリィの本体がいる)こちら側で賭けをしたのだ。おまえが閉じ込められればラズリィの勝ち」
「弟子になりそこなっちゃいましたー。ぜんぜん諦めてないですけどねっ」
「……僕が脱出できれば」
「白い霧とこの周辺の異変について、ラズリィちゃん知ってること全部教えちゃいますぅ」
アリウスはがくりと肩を落とした。
「で。見てたんですね。僕が必死で脱出するまでを」
そうだ、とセルセーラは頷くとマントを翻し、歩き出した。
「お師匠様、どちらに?」「温泉だ。決まっておろうが」
「きゃー!私もご一緒いたしますぅ」とラズリィ。
「いや、僕はもう沢山入りましたから」「そうだ、おまえが入るのではない」「はぁ?」「むーちゃん(ムーンバックの愛称)は海水はダメだが温泉は大好きなのだ。背中を流せ」「えーっ?!」
背後で騒ぎ立てるアリウスには目もくれず、皆は楽しげに秘湯・竜鳴温泉へと歩き出した。
夜は更けて、秘湯を抱く山の端に白い第1の月が昇る。
その下の温泉に閃く光は、温泉の守り手ソーキング・ドラコキッドが跳ね上げる湯のしぶきであろう。
知の探究者セルセーラ一行の楽しい湯治は今、始まったばかりだ。
了
※註.牛乳については、惑星クレイにも乳牛に酷似した動物とその乳を利用する習慣があるので、地球の呼び方を使用した。※
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《今回の一口用語メモ》
惑星クレイの温泉
火山活動とは、充分な大気と水があり、生物が生存可能なハビタブル惑星にとって、星自体のエネルギーの現れと言ってもいい。
そして温泉は生命誕生の起源といわれ、太古の昔から生物を癒やし、活力を増進させる場所であり続けた。
惑星クレイもまた地球同様、各地に温泉が湧き、人や獣など生き物が集う場所となっている。
今回の舞台となったドラゴンエンパイア「秘湯・竜鳴温泉」もその一つだ。
ただし惑星クレイの温泉は、ただの癒やしの場ではない。
ソーキング・ドラコキッドが述べている通り、力ある竜の結界に守られている「秘湯・竜鳴温泉」などは特に、竜(特に幼竜が力を蓄え強く育つため)や人が外敵に脅かされず、安心して心身を癒すことができる一種の聖域であり、種族を超えて親睦を深められる場所だとも言えるだろう。
トリクスタと焔の巫女たちが、ドラゴンエンパイア北都近くの温泉に滞在したことについては
→ユニットストーリー081「ディアブロス“爆轟”ブルース」
を参照のこと。
ヴェルストラが、温泉地でもあるセントラルドーム郊外にある別荘にバスティオンを泊めたことについては
→ユニットストーリー084「葬空死団 “裂空神”アーヴァガルダ」
を参照のこと。
ディアブロス ブルースがダークステイツの迅骸谷温泉を訪れたことについては
→ユニットストーリー100「迅骸魔境の闘戦鬼」
を参照のこと。
セルセーラ、アリウス一行については
→世界観/世界観コラム ─ セルセーラ秘録図書館
→ユニットストーリー188「知の探究者 セルセーラ」
ユニットストーリー080「終わりの始まり」
ユニットストーリー167「魔道君主 ヴァサーゴ」
を参照のこと。
ダークステイツの魔法使いについては
→ユニットストーリー220「ソーマタージ・プロディジー」の《今回の一口用語メモ》
を参照のこと。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡