カードファイト!! ヴァンガード overDress 公式読み物サイト

ユニット

Unit
短編小説「ユニットストーリー」
225 幻真星戦編「月の門番 ヴェイズルーグ IV」
ブラントゲート
種族 ムーンキーパー
カード情報



 レザエルは、病室の窓から北東の方角に目を凝らしていた。

 暗黒海と陸地を隔てた遥か彼方に、それ・・はあるはずだった。
 だが、岸辺の先の風景はかすんでいて、沖を行く船の姿すら見通せない。
 白い霧。
 空も海も陸も、今や惑星クレイの全てが薄いとばりに覆われているようだ。
「おはよう、レザエル」
 振り向くと、時の宿命者リィエル゠オディウムは病室のベッドから起き上がったところだった。
 つい先ほど回診に来た時にはまだ深い睡りの中にいた彼女だが、天使であり宿命者であるオディウムの覚醒は速やかだ。つまり寝ぼけることがない。
「急に起きてはいけない、オディウム」
「ふふ、心配性ね」
 オディウムは歩み寄ると愛しい人に身を寄せる。
「私はどこも悪くないのに。ただ疲れやすく、こうして一日のほとんどを眠ってしまうだけで」
 レザエルの抱擁は優しかったが、どこか戸惑いが漂っていた。
 オディウムはそんなレザエルの様子を見て、身を離し、小さく笑みを浮かべてみせた。
「そうね。世界がこんな状況だからこそ、私が頑張って復帰しないと。この世に残るただ一人のリィエルとして。他では代わりができないわ。この世界を背負うあなたを支えるのは」
「だけど主治医の私としては、君にもう少し休んでいてほしい。病院の方はまだ私とソエル、スタッフで回せているし心配しなくていい」
「はい。名誉院長先生」
 オディウムは素直に頷くと、再び横たわった。レザエルは毛布を掛けると患者の頭に手を置いた。
「また見に来るから」
「うん。……レザエル?」
 立ち去ろうとしたレザエルは、こちらを見上げるオディウムの視線を受け止めた。
「どうした」
「私、いま幸せよ。こんな家族みたいに、いつまでも一緒に暮らしていけたら……」
 オディウムは微笑んでいたが、表情は真剣そのもの。
 レザエルも真摯に頷いて答えた。彼はそういう男だった。
「それこそが心から望んでいることだ。リィエル゠オディウム」「でも、ごめんなさい」「謝る必要はない。君は何も悪くないのだから」「いいえ。あなたもソエルも言ってくれないけれど、この眠気だけでなく、私きっと、何か重要なことを思い出せていないのね。だから現場への復帰を認めてくれないのでしょう。あの白い霧は直接接触しなくても、私たちが気づかないうちに記憶を失わせたり、改ざんしたりできるという事なのかしらね。だとしたら本当に恐ろしい病だわ、赫月病は」「……」
 病室に沈黙が降りた。
「ありがとう。もう行って。私、頑張って思い出すから。そして赫月病のひとつと思われる、この“眠り症”のことも分析し研究結果をまとめて、宿命者と運命者ネットワークにも共有する。医者として腕の見せ所ね」
「それでこそオディウムだ。ではまた後で」
 レザエルは静かにドアを開閉して廊下に出ると、周囲に誰もいないことを確認して、顔を覆った。
 それは名医であり、悲しみの剣士であり、リィエルを愛する男の苦悩の深さを示す仕草だった。

Illust:海鵜げそ


 エレベーターの扉が開くとそこは屋上で、リィエル記念病院のスカイポートだった。
 空飛ぶ種族の多い惑星クレイでは、小型VTOL機やドクターヘリ以外にも、外来患者がここを利用する機会は多い。
 夕空の下、今日も混雑する広いスペースの一画にレザエルを待つ人影があった。
「待たせてすまない。ヴェイズルーグ、クリスレイン、ベルクレア、そして友よ」
 最後に呼びかけた相手は無双の運命者ヴァルガ・ドラグレスである。
 黙って頷いた深編み笠の剣士ヴァルガの肩には、地上用にサイズを縮めた一羽の烏輪の幻真獣レヴノローグが乗って、レザエルに嘴を開けて挨拶をしていた。このレヴノローグが、月で群れ成す他の個体と明らかに違うのは、ヴァルガとの猛稽古を想像させる傷や羽の抜けが目立つことだった。
「オディウムの容態はいかがですか」
 万化の運命者クリスレイン・カデンツァは、学園都市リリカルモナステリオの指導者。宿命者であるオディウムとも親しい仲だった。優雅な物腰にも心から案じる気持ちが伝わってくる。その杖の先に絡みつく半人半竜の小さな姿は、クリスレインが得た幻真獣が普段連れ添って出歩く姿らしい。
「身体については健康体といっても良い。一日の間で、彼女が覚醒していられる時間がわずかということを除いては。そしてアモルタのこともドラコニスのことも記憶からは欠落している」
「記憶はともかく、活性化ということなら、わたしの魔法がお役に立てると思うよ、レザエル先生。この後、お見舞いに寄ってみるね」
「ありがとう、ベルクレア。とても助かる」
 悠久の大魔法師ベルクレアは笑顔で“姉妹杖”を掲げてみせた。レザエルよりも以前に、クレイで最初に月の試練をクリアして幻真獣を与えられるほどの実力者なのだが、いつも陽気で楽天的で若々しい印象を与えるエルフの女性だ。
 ストイケイアの名門『エルフ総合魔法学校』出身の彼女は、レザエルが神聖医学の授業に客員講義して以来の縁だ。
「なにしろ君は、『月の試練』を乗り越えるほどの廻命魔法の使い手なのだから」
 ベルクレアは照れる感情を持て余したように杖を弄ぶと、豊かな赤髪を掻き分けて鳥のような幻真獣が顔を出し、辺りをきょろきょろと窺った(どうやらこれも幻真獣が小型化した形態のようだ)。
「レザエル、我は2つの報せを携えてきた。良い報せとそうではないものと」
 ここで月の門番ヴェイズルーグが口を開いた。
 永の歳月を“月”の調整者として過ごしてきた宇宙由来の種族、ムーンキーパーである。
 備えるにも戦うにも悠々として、他人を急かせるということがない人物だ。
 ちなみに地上にいる今は、ヴェイズルーグも身体を人間サイズに縮小している。
「聞かせていただこう。皆、どうぞ中へ」


Illust:北熊


「さて、諸君。以前より我々が警戒していた白い霧がその頻度、濃度と範囲を増す中、ギーゼ=エンド湾を臨むダークステイツ領に突如、謎の塔ミラージュタワーが出現。急速に広がった白い霧は各地でファントムドームとなって町村を侵食し、住民を“幻存在”へと変質させた。そして魔王竜なるものが『幻真星戦』を宣言。我らムーンキーパーと幻真獣、君たち幻真獣の加護を受けし者たちのみが、この脅威の前に辛うじて立ちはだかっている。幻影ファントム側は、広げたファントムドームで世界を完全に覆い、幻こそ現実とすれば勝ち。一方で我々は、ファントムドームを支配するファントムガーディアン──その名に“幻影ファントム”を冠する者たち――と戦い、ミラージュタワーを守る結界を解いて魔王竜を倒し、幻世界を払拭することが至上目標となる。……ここまでが皆も知る、今の惑星クレイの状況だ」
 ヴェイズルーグは慣れた様子で椅子に座り、理路整然とこれまでの経緯をさらった。
 病院のカフェテリア。窓の外は夕闇が落ちている。
「『幻真星戦』の始まりに、リィエル゠ドラコニスが失踪してからも一月ひとつきが経った」
 特別席のテーブルを囲むのは(外で待つよう命じられた幻真獣を除く)レザエル、ベルクレア、クリスレイン、ヴァルガ、そして今、レザエルの苦悩の核心をついたヴェイズルーグの5人である。
「ヴェイズルーグ!」
 クリスレインが思わず発した言葉を、レザエルは手で制した。
「私も皆も必死になって行方を捜したが判らなかったのだ。私はまだ希望を捨ててはいない。……続けてくれ、ヴェイズルーグ」
「うむ。ここにいる4人は『月の試練』の合格者。赫月病の発症までに間に合ったのは、不幸中の幸いであった」
 3人が頷き、ヴァルガは一人、腕を組んだ。
「赫月病とその現れである白い霧がもたらす幻化の影響力に対抗し得るのは幻真獣と、幻真獣の加護を受けし者しかいない。つまりは君たちだ」
 レザエルが手を挙げた。
「ヴェイズルーグ、その幻真獣についてだが。あなたとベルクレア、クリスレインは既に幻真獣と行動を共にして、戦果をあげている。そしてつい先日、ヴァルガの幻真獣も覚醒したと聞く。我がリフィストールはどうなのか」
「奇跡の幻真獣は一月ひとつき前、我が月世界に一時帰還させていた」
 ヴェイズルーグは頷いて、差し出したそのてのひらの上に惑星クレイ第1の月近くに浮かぶ『月の門』を表示させた。輝くその中心部はエネルギーが渦巻く光の渦だ。
「汝らが挑戦した月の試練とは、幻真獣がその所有者を見定めるためのものであった。月の門とは我らムーンキーパーがいただく、月の災いに対する防衛の象徴であり、また幻真獣を産み出す源、幻真獣に力を与えるいわば充電器のような機能を持っている」
 充電器というのはレザエルたちにわかりやすく砕いた例えだったが、誰も表情を崩すことはなかった。


Illust:北熊


「そしてこの一ヶ月、戦ってきたクリスレイン、ベルクレアは肌で感じているはずだ。白い霧の《幻化力》は強く、惑星クレイの力ある者でさえ無力に近い。一度取り込まれれば変質は免れない。感染力の極めて強い伝染病をイメージしてもらえばわかり易いだろう。真逆の存在になる者、かけ離れた存在になる者、肉体の一部のみが変わる者、性格のみが変わる者、種族や出身、生と死、その変質の仕方は多岐に渡り予想できない。それが幻世界の影響力だ。そして幻真獣は、月の災いを取り除くことができる特別な存在、赫月病に対する唯一無二の特効薬だとも言える」
「ではリフィストールも……」
「先ほど、幻真獣を充電池、月の門を充電器に例えたのはそこだ。幻真獣は万能ではない。赫月病が発症した場合、特効薬として機能するために“真の覚醒”を経なければ充分な力を発揮できないのだ。さらに言えば真の覚醒には個体差もある」
「なるほど」渋い声でヴァルガが低く呟いた。
「レザエル。君とリフィストールには事態が切迫するぎりぎりまで、戦うことよりも調査と偵察を優先してもらった。その努力によって我々は、ミラージュタワーを本拠とする敵の動向を知り、ファントムドームの分布や増殖、幻化の影響力について貴重な情報を得ることができたのだ。だが一方で、君たちを多忙な立場におき、リフィストールの真の覚醒も遅れる結果となってしまった。すまないと思っている」
「我々は、あなたの《月》とクレイを憂う気持ちと努力を知っている。詫びなど不要だ」
 レザエルの返答は戦友であるクリスレイン、ヴァルガ、そして師弟に似た関係であるベルクレアの意志も代弁するものだった。
「そもそも今回、月と惑星クレイを襲った赫月病は、多様な月を見てきたあなたが見ても特殊な発症の仕方だったのだろう。我々は既に信頼と強い絆で結ばれた“幻真獣チーム”だ。善後策に注力しよう」
 ヴェイズルーグは小さく頭を垂れて謝意を表した。
「そこで良い方の報せだ」
 ヴェイズルーグの掌の映像が変化し、人間の少年の顔が現れた。
「彼は?」とレザエル。
「我が先導者。異世界《地球》の少年だ」
「なるほど。今回の異変はその異世界とも関わりがあると考えたのだな。シヴィルトの世界渡りのように」
 ヴァルガが口を開き、一同は軽い驚きをもって振り返った。
 だが思い返してみれば、シヴィルトの精神汚染によって“羅刹”となり、さらに修行の末それを克服し己がものとした無双の剣士ヴァルガが、異世界についての直感に優れていることに別段不思議はない。
「我は《月》を中継することで思念を飛ばし、我が声を受け取る者が現れた時のみ、異世界と交信することができる。我は彼に話しかけ、彼もまたそれに応えた」
「《地球》と連絡をつけられるというの?!」
 ベルクレアが思わず声をあげた。世界の壁を越えることは魔法でも科学でも実現不可能といわれる技なのだ。成功例は近年2つしかない。ヴェイズルーグが頷いた。
「ヴァルガの指摘通り、今回の赫月病が異常である原因は、この2世界同時に起こった異変の中にあるのではないかと我は考えている。引き続き、あちらの様子も見ながら真相を探っていく」
「希望が持てそうですね」
 目を閉じて聞いていたクリスレインが納得した表情で頷いた。万化の運命者は世界に冠たる学園都市の長である。異世界をまたぐ異変、通例に沿わない赫月病、そして幻影ファントムとファントムドームの関係におけるヴェイズルーグの優位を即時に理解したのだろう。
「良き報せとしてはもう一つ。我々にはまだ新たな力が期待できる」
「新たな力とはどういうことか、ヴェイズルーグ」
「告げるまでもなく、君は近くそれを知ることになるだろう」
 ヴェイズルーグはここでひと息つくと、少年の顔を消し、別の映像を映し出した。
「もう一方の、悪い報せだ」
 ヴェイズルーグは重々しく宣言した。
 卓上の飲み物には、まだ誰一人として手を付けられていない。快活なベルクレアでさえも息を詰めて聞き入っていた。


Illust:タカヤマトシアキ


 ヴェイズルーグの映し出した映像は、レザエルたちが知る惑星クレイのどこにもない場所、先の話から察するに異世界である《地球》の出来事らしかった。
 町にそびえる、こちらの世界のものとそっくりなミラージュタワーを背に霧が渦巻き、男性の形となった。特徴的な角を持つ彼は、こう言った。
『我が名はガブエリウス』

「ガブエリウスだと?!」
 レザエルは立ち上がり、映像は消えた。クリスレインと、穏やかなレザエル“先生”しか知らないベルクレアは思わず身を固くする。
「落ち着くのだ、レザエル」とヴェイズルーグ。
「続きを見せてくれ!」
「それはできない。これでも世界の掟に触れる危険を我は冒し、最小にして最大の情報を差し出している」
「何故だ!」レザエルとしては珍しく激昂している。
「本来、交わるはずのない2つの世界だからだ。君とレヴィドラスは運命王、宿命王となる瞬間に目撃したはずだ。惑星クレイすべての運命力を結集しても、やっと垣間見える。それほどの宇宙的な隔たりであり壁なのだ」
「……」
「多宇宙を移動し秘密を厳守する種族である我ら以外が、互いの世界について知り過ぎることは均衡を崩しかねない」
「なるほど。だから月の秘密の守護者ムーンキーパーなのか」ベルクレアが呟いた。
「だが聖竜ガブエリウスの名とその英雄的な行いを、君たちから聞いていた我は、これだけは伝えねばならないと感じた。なによりも君にとってガブエリウスは武術の師匠であり、共に運命大戦を始め、支えた協働者であり、そして……」
「親友。その通りだ!……あぁ、ガブエリウスが魔王竜の正体だと?どうしてこんな事に……」
 うつむくレザエルの肩に力強い手が置かれた。ヴァルガである。
「ガブエリウスはレザエルにとっては親友であり、精神汚染を受け暴走した我を止め、リィエル゠アモルタと共にいずこかへと去った縁深い相手だ。地球に現れたガブエリウスを名乗る奴は、本当にあの聖竜ガブエリウスなのか」
「ヴァルガ。彼は本物だ」とヴェイズルーグ。
「確かだろう。姿が人の形に変わり、どれほど心歪んだとしても私があの目を見間違うはずがない。……ありがとう、友よ。もう大丈夫だ」
 レザエルは顔を上げ、ヴァルガの手を握り返した。
「ヴェイズルーグ。動揺を抑えるのは難しいが、あなたが大きな危険を冒してこの事実を伝えてくれたことは察するし、深く感謝する。……悪い報せとはこのことなのか」
「おそらく、最大のものはそうだ」
 ヴェイズルーグの微妙な言い方に気がついて、クリスレインとベルクレアが顔を見合わせる。
 その時、レザエルがハッと上を見あげた。
「!」
「気がついたか。迎えに行くがいい、レザエル」
 月の門番が言い終えぬうちに、レザエルは屋上を目指して駆け出していた。
 最上階のカフェテリアから屋上へは、エレベーターよりも階段のほうが速い。
 ヴェイズルーグ、ヴァルガ、クリスレイン、ベルクレアが追いついた時には、既に再会の時は終わっていた。
「帰ってきたな、我が友リフィストール」「お待たせしました、我が救世の翼」
 レザエルの側には、奇跡の幻真獣リフィストールがいた。
 姿形にこそ変化は見られないが、ここに集う戦士たちには、奇跡の幻真獣の中に燃える魂の炎が確かにその熱量を増しているのが感じられた。
「これがもう一つの良き報せという訳だな、ヴェイズルーグ」
 レザエルの呼びかけに月の門番は頷き、こう告げた。
「そして新たな戦いの始まりだ。何か思い出さないか、レザエル。この一月ひとつきのことで」
「思い出す?何をだ」
「君は、いや正しくは君たちリィエル記念病院の者たちは皆、ある事・・・を忘れている」
 レザエルはリフィストールの首を撫でながら、込み上げてくる微かな不安を感じていた。
「忘れるだと?忘れているのは、オディウムがドラコニスのことを、かつてアモルタだったもう一人のリィエルのことを……我々の家族、そして大切な仲間……仲間?」
 レザエルの手が止まった。
 記憶に、渦を巻く運命力の姿が閃いた。
 ゼロうろ
 かつてその中心へとレザエルは飛び込み、一人の悪魔をこの世界へと連れ出した。
 差し伸べた手。その先にいたのは……
「ブラグドマイヤー!彼がどこにも?!」
 いない。ソエルが詰める医局にも、診察室でもこの一月ひとつき、その姿を見たことが無かった。
「レザエル。気を鎮めて聞いてくれ」
 ヴェイズルーグはレザエルの両肩を支えて、こう告げた。
「ブラグドマイヤーは出張医療の途中、白い霧に捉えられた。誰も予期できなかった事。ちょうど一月ひとつき前のことだ」
「そんな……」
「彼は今、ケテルサンクチュアリのドームを統べる、ファントムガーディアンとなっている。我々の敵だ」
 レザエルはもう声もなかった。
「君が倒し、救うのだ、レザエル。幻世界の天使、救済の零 ブラグドマイヤー “幻影ファントム”を!」
 遠雷。
 それは、レザエルにとっての幻真星戦の始まりを告げる号砲のようだった。



----------------------------------------------------------

《今回の一口用語メモ》

幻真星戦、白い霧と幻世界

 本編でも月の門番 ヴェイズルーグが触れている幻真星戦について。
 また赫月病と白い霧についても、ここで改めてまとめてみよう。

幻真星戦とは
:惑星クレイをすべて幻世界にしようとする「幻影ファントム」側と、
 それをはばみ現実の世界に戻そうとする「幻真獣とレザエルら月の試練達成者」との争い。
 戦いの末、どちらか相手の世界を完全に制した方が、以後の惑星クレイの未来を決定づける。
 幻影ファントムが勝てば、それまでの現実は消えて幻こそ現実となり、
 幻真獣とレザエルたちが勝てば幻は消え、これまでの現実が戻るだろう。

ミラージュタワー
:惑星クレイのダークステイツ領と、異世界地球に同時期(正確には多少のずれはあったようだが)、まったく同じ形のものが出現した、幻影ファントムの本拠。
 惑星クレイ側ではミラージュタワーの中にいるのは「魔王竜」としか知られていなかった。
 双方の世界を見ることのできるヴェイズルーグの情報によれば、
 この主は『ガブエリウス』を名乗っているのだという。

赫月病
:赫月病とは、悪性の魔力が月を赤く変色させ、その光を受けた惑星(本星)の生物が変容し、正気を失うという病だ。
 ヴェイズルーグとムーンキーパーは、様々な異世界を含む“月”の調整者、秘密の守護者であり、
 月の病気である赫月病を警戒し、その治療にあたってきた。
 ただ今回、惑星クレイを襲っている赫月病は、経験豊富な月の門番ヴェイズルーグでさえも
 かつて見たことが無いほど奇妙な現れ方をしている(一度赤く染まった月がまた白に戻ってしまうなど)。

白い霧
:幻の霧とも。ヴェイズルーグの警告と月の試練を通じて、惑星クレイに迫る赫月病に対し警戒を強めていたレザエルたちが、その潜伏期間の最後に発見した現象。
 これにかれた生物は様々に変容し、現実ではなく幻世界を真実の世界だと信じて生きることになる。
 ただしヴェイズルーグも、この白い霧自体が赫月病独特の現象だと断言していないことには注意が必要。
 前述の通り、本来の赫月病は赤い月の“光”がもたらす病変なのだ。
 この点については、ヴェイズルーグとレザエルたち幻真獣側の調査結果を待つことにしたい。



時の宿命者リィエル゠オディウム、聖なる時の運命者 リィエル゠ドラコニスについては
 →ユニットストーリー211 赫月篇第10話「聖なる時の運命者 リィエル゠ドラコニス II」の《今回の一口用語メモ》を参照のこと。

リィエル記念病院については
 →ユニットストーリー176 朔月篇第1話「奇跡の運命者 レザエル VI」
 を参照のこと。

赫月病と白い霧については
 →序「月の試練と赫月病の予兆」を参照のこと。

万化の運命者クリスレイン・カデンツァについては
 →ユニットストーリー130 運命大戦第5話「万化の運命者 クリスレイン」
  ユニットストーリー207 赫月篇第7話「万化の運命者 クリスレイン・カデンツァ」
 を参照のこと。

無双の魔刃竜ヴァルガ・ドラグレス “羅刹”ついては
 →ユニットストーリー160 宿命決戦第9話「時の宿命者 リィエル゠オディウム II 《最後に立つ者》」
  ユニットストーリー163 宿命決戦第12話「無双の魔刃竜 ヴァルガ・ドラグレス “羅刹”」
  ユニットストーリー165「ヴェレーノ・ソルダート レフォノハイラ」
  ユニットストーリー181 朔月篇第6話「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス III」
を参照のこと。

聖竜ガブエリウスと(後の)奇跡の運命者レザエルについては
 →ガブエリウス サイドストーリー「わずかな光でも、手を伸ばした者にのみ、奇跡は舞い降りる」
 を参照のこと。

奇跡の幻真獣 リフィストールについては
 →ユニットストーリー190 朔月篇第14話「奇跡の幻真獣 リフィストール」
 を参照のこと。

----------------------------------------------------------

本文:金子良馬
世界観監修:中村聡