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あぁ。「世界樹の音楽隊(ワールドツリー・マーチングバンド)」を観て、しかめ面になる者もおるまい。

うむ。名高いストイケイアの音楽隊だ。

アリウスよ、あれはハイビーストだぞ。知能が高く言語も喋れるものもいる。ただの獣ではない。弟子の無礼は師の恥。くれぐれも彼らの機嫌を損なわないようにな。

それはそうとお前、バイオロイドと言ったか。そこはよく見ていたな。「世界樹の音楽隊」の中核メンバーはバイオロイドなのだ。

バイオロイドはストイケイア独特の種族だ。はるか太古、ネオネクタールによって生み出された半人半植物の人造生命体と言われている。

教えてやったであろうが。世界の食糧供給のほとんどを占める旧ズーの超巨大穀物商社組織だ。世界樹といい、植物に関係する話ではあるな。

世界樹はあちこちにあるぞ、星に繋がる樹だからな。まぁこれほど大きいものは珍しいが。

そうだ。世界樹はこの惑星クレイ自体に深く繋がっている。つまり世界樹を通じてエネルギーを与えることで、星が元気になる。街に暮らす人々や野の獣がつむぐ活気、生命のリズム。それを樹と星に捧げるのが祭りでありパレードだ。

彼らはストイケイア一の優れた“世界樹を祭る者”たちだ。特にリーダーのリアノーンは世界樹の気分を感じとる希有な才能があると聞く。彼女がいずれ世界樹の意思と交信できる日も来るだろう。案外とすぐに、あるいは長くかかるかも知れんが。

楽しいことばかりなら良いのだがな。世界樹は一説に、この世界に迫りくる危険を予知するとも言う。アリウスよ、お前は世界の危機を知り、警鐘を鳴らして回る責任の重みに耐えきれるかな？

ふむ。まぁ「世界樹の音楽隊」は超一流のパフォーマンスだ。もうしばらく目と耳を楽しませてもらうとしよう。