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師匠、ご無事で?まったくとんでもない現場に居合わせちゃいましたね。 -
うむ。まさかこれほど短期間に治安が悪化するとはな。 -
以前、こちらを訪ねた時にはこんな感じじゃなかったですよね。 -
デモ隊を鎮圧に乗り出す天上騎士団、双方の衝突、そしてあの謎の騎士の出現。そして民衆の抗議の声と高揚。地上の都セイクリッド・アルビオンの状態とはまさに「乱」であると言えよう。 -
でもわかりません。僕ら外国人にとってケテルサンクチュアリは、世界が危機になると立ち上がる騎士たちの神聖王国のイメージだったのに。 -
アリウスよ、お前は自分の疑問に対する答えにたどり着いている。“かつてのユナイテッドサンクチュアリの様ではなくなったこと”がおそらく、今のケテルサンクチュアリが抱える問題の原因なのだ。 -
でも、天上都市のケテルギアでも、ここ地上の都でも僕らを歓迎してくれた人たちはみんな親切でしたよ。暴動を起こすようには見えなかった。 -
我々は旅人だからな。住んでみないとわからない事も多い。お前も科学者として、なにか気がついたことがあったろうが。 -
生活のレベルについて言えばすごく差がありますね。地上の農村と天上の都では。特に医療や衛生という点で、地上の暮らしは楽ではないでしょう。 -
そうだ。いまのケテルサンクチュアリでは天上の都を豊かにするために、地上の民が苦しい生活を強いられているのだ。反抗は許されない。天上騎士団(クラウドナイツ)が厳しく取り締まるからな。 -
なんとかもう少し平等にはできませんか。 -
できあがった社会の仕組みを変えることは難しいだろうな。繁栄が悪なのではない。その裏にある貧富の格差と搾取とが憎しみを深めているのだ。 -
それであの衝突ですか。 -
うむ。ひとつ心配があるとすれば、解決困難な問題が続くと過激な行動につながりやすいという事だ。魔法も科学も本来は人を幸福にする力。だがその逆に使われる例を、私は何度も目撃してきた。 -
(師匠はいったい何年、世界を見て回ってきたんだろう……) -
実際、あの謎の騎士が出現するたびに地上の民は結束を固め、天上の人々への反抗の意志を強くしていると聞く。地上の怒りがいつか天を破ることもあるのかも。……いや、革命とは聞こえが良いが結局のところ、同邦が相争う内乱とは常に悲劇だ。 -
地上の人々にとってあの騎士は、不安な暮らしを変える英雄なのでしょうね。あの仮面の下はどんな素顔なんでしょうか。 -
さてな。どのような“絶望”があのような仮面を被らせ、超人的な強さをもたらしたのか。だがアリウスよ、先の《世界の選択》は覚えていよう。 -
はい、世界が二つに割れたあの日のことは忘れられません。僕らの希望の祈りが辛うじて勝利したことは幸いでした。 -
今回もまた私たち一人一人にできることは少ない。だが、せめて地上の民の望む所を知り、天上の人々に伝える助けをしようではないか。この国のゴールドパラディンやディヴァインシスター達のようにな。 -
はい、喜んでお手伝いします!
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世界観コラム ─ セルセーラ秘録図書館