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アリウスよ、豊かな自然というものには癒やしの効果があるな。 -
はい。ボク、都会っ子なんですけど、今すごくいい気分です。なんだか眠くなってきますねぇ。 -
田舎も良いものだろうが、我が弟子よ。 -
はい。……あの師匠、ボクらがいるここって古くはズーと呼ばれていた国ですよねぇ。 -
うむ。現在はストイケイアの北部となっている大森林の中だ。 -
先ほど教えてもらった地名は……何でしたっけ? -
「レティア大渓谷」だ。 -
それとここ特有の種族……えっと……。 -
樹角獣(じゅかくじゅう)のことか。そう、この一帯にのみ見られる獣で、身体から、樹で出来た角が生えているのが特徴なのだ。 -
へぇ、それで“樹”角獣なんですねぇ。 -
猫、熊、オオカミ、鹿など他と似ている動物もいるが、ちょっとずつ変わった点がある。身体から出た茎に花が咲いているもの、鉱石のような物体を身体の周りに浮遊させているもの、などなど。 -
へぇ…… -
樹角獣(じゅかくじゅう)は言葉を話すこともできるらしいぞ。 -
……。 -
我はそれも楽しみでここにやってきたのだ。むーちゃん(我の首周りのフワフワに変身している獣ムーンバック)は残念ながらオマエたちにわかるようには喋れないからな。獣と言葉で会話できるなんて素敵ではないか。 -
……。 -
そうそう、樹角獣(じゅかくじゅう)の頂点に立っているのが森の化身と言われる「樹角獣王(じゅかくじゅうおう)マグノリア」だ。森に棲む者でもめったに出会えないという。 -
……。 -
アリウスよ、寝ているのか。……まぁここまでも長い旅だった。寝かせてやろうか。 -
……。 -
なんだろう。我も猛烈に眠くなってきたな。レティア大渓谷は害意あるものは拒み、善意のものを癒やし抱擁するというが……この事なのか? -
……。 -
おや。大きな姿が見える。もしやあなたは樹角獣王(じゅかくじゅうおう)マグノリア?……一度お話ししたかった。旧ズーの自然に満ちる神秘と豊かな魔力について。だがもう目が開かぬ、ごきげんよう、樹角獣王(じゅかくじゅうおう)どの。 -
……(寝息) -
……(寝息)
世界観
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世界観コラム ─ セルセーラ秘録図書館