ユニット
Unit
短編小説「ユニットストーリー」

Illust:みるちょ
(音も無く背後に着地。驚いて振り向いた口元をそっと人差し指で押さえながら)
「……しっ!静かになさって。あなたが警護対象者ご本人ですね。私は味方。お助けするよう依頼を受けてブロデイウェズ家から参りました、Bel-Fiore ムゥヴィと申します」
少しだけ顔を覗かせ、周囲を見回すムゥヴィ。
「あら、すっかり囲まれてしまってますのね」
ムゥヴィは無邪気な笑顔を浮かべる。
「でもご心配なく。私たちはプロフェッショナル。こうした状況も慣れっこですから……ちょっと頭をお退きになって」
言われるまま身を引いた途端、幾つもの弓矢が隠れている机すれすれにドスドス突き刺さる。
「大丈夫大丈夫。さぁ始めますわよ。合図するまで、あなたは絶対にここを動かない。よろしいですね」
落ち着き払った、しかし凜とした指示に、あなたは頷かざるを得ない。
「我が名はBel-Fiore ムゥヴィ!」
名乗りを上げて立ち上がり、双剣を抜き放つムゥヴィ。刀身が陽にきらめき、一刹那、部屋中がピンク色に染まる。
「当家が誇る刃金、その冴えを存分にご堪能くださいませ」
ムゥヴィが敵に向かい飛び出した後の光景は、見守るあなたにきっと、我が身の幸運とこの危機からの脱出を確信させるだろう。
彼女はBel-Fioreなのだから。
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<ユニット紹介>
Bel-Fiore ムゥヴィ
ケテルサンクチュアリ、地上生まれ。17歳女性、人間。
Bel-Fioreの証である花飾りは、髪につけられたピンクのカスミソウ。
ムゥヴィはBel-Fioreたちを統率し、仕事の状況や戦闘の推移を見て増援を呼ぶ、部隊の現場指揮も任されている。武術の腕も高く、戦闘では華やかな二刀流剣技で敵を圧倒する。
《惑星クレイ ワールドガイド》
武掃華政隊 Bel-Fiore
侍女であり私設戦闘部隊でもあるBel-Fioreの名称。
ブロデイウェズ家が、彼女たちを信頼し、命がけの任務に挑ませるのには幾つも理由がある。
・確かな人材採用と訓練
Bel-Fioreは、メンバー全員がブロデイウェズ家が運営する養成機関で育成され、選抜されたプロフェッショナル集団だ。また採用後も、家事から戦闘まで厳しい訓練を同家の施設で受け、実力を認められるまでは現場に出されることはない。
・信頼関係
Bel-Fioreであることはメンバーにとって名誉なことであり、ブロデイウェズ家と“ご主人様”に仕える気持ちは心からのものだ。侍女長マイアは、ある事情から特にこの忠誠心が強い。
→次回のユニットストーリー「Bel-Fiore マイア」を参照のこと。
また侍女同士も(マイアを「お姉ちゃん」と呼ぶアプレナのように)本当の姉妹のように強く深い絆で結ばれているため、協働の家事や戦闘でも高い実績に結びつきやすい。
・ビジネス
Bel-Fioreの依頼料は、家事代行サービスとしては高額だ(一方で、戦闘が絡むような危険度の高い仕事の報酬としてはリーズナブルであるとも言える)。にもかかわらず、Bel-Fioreへのオファーは絶えることなく、その名はケテルサンクチュアリではよく知られている。
美しく可憐な乙女たちが現れ、高度な科学技術と神聖魔術の結晶である華美な武具を振るって任務を遂行する姿は、一般市民の間でも憧憬と共にアイドルのような扱いを受けており、彼女たちの活躍はブロデイウェズ家お抱えの武具工房が開発・製造する兵装プロモーションの一翼も担っているのだ。
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本文:金子良馬
世界観監修:中村聡
世界観監修:中村聡