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最新話
第2章 ブルーム・フェスにようこそっ!
第一章 誰が為の英雄
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第1章 0話 プロローグ 記事を読む——これは厄介なことになった。
彼がそう思ったのは、長い眠りにつく直前のことだ。 -
第1章 1話 はじまり 記事を読む「キャァアァアァァッ!」
そうして3000年後の世界は、わけもわからないまま、問答無用で幕を開ける。 -
第1章 2話 ラディリナとケイオス 記事を読むバイオロイドの少年・ロロワと、ドラグリッターの少女・ラディリナが逃げ込んだのは世界樹を取り囲む石造りの神殿だ。逃げ場はそこだけ。
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第1章 3話 3000年後のストイケイア 記事を読む聖域を守るためだろう。石造りの門扉は堅く閉ざされていたが、ケイオスが手で合図をするなり開いていく。
と、その先に広がる光景にロロワは思わず声をあげた。 -
第1章 4話 テグリアとメープル 記事を読む往来の喧騒を行くラディリナの歩みは早く、体力の落ちているロロワでは、ついていくだけで精一杯だった。
「あ……のっ……!」 -
第1章 5話 エバとオブスクデイト 記事を読む棚ぼた的に昼食の支払いを済ませると、何枚か銀貨が残った。テグリアからの詫び代なのだろう。とは言っても、暮らしを営む資金にするには到底足りない金額だ。
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第1章 6話 伝説の記憶 記事を読む「ねぇねぇ、これ、なんで?」
幼い頃からエバの口癖はそうだった。 -
第1章 7話 忠実なる冷徹 記事を読む「——そしてこれが、その宝具というわけです。って、もう壊れちゃったんですけどね」
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第1章 8話 穿通 記事を読む埃と蜘蛛の巣にまみれた出窓を降りると、石造りの大階段が奥へと続いている。神殿を守護すべき近衛兵も、市街の救出に出ているのだろうか気配を感じられない。
——ドク、ドク、ドクッ -
第1章 幕間 泥濘の声 記事を読む闇の奥から声がする。男のようで、女のようで、ただ音を組み合わせただけの弦楽器のようにも聞こえる。やわい音が、ロロワの鼓膜の敏感なところをカリカリと引っ搔いている。
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第1章 9話 清廉なる騎士 記事を読む「——さて」
エバは煌結晶を月明りに透かす。深い緑の石は、その奥に炎めいた灯を宿し、仄かに、明確な生命の力強さで揺らめいた。
「実験を始めたいところですが……っと、ほほーう、ちょうどいい実験体が来ちゃいましたね」 -
第1章 10話 清廉なる騎士 記事を読む聖域の松明は燃え、煤が天に溶けていく。その明かりに照らされる人影がふたつ。
エバはオブスクデイトの肩の上に座りつつ、人差し指をピンと立てた。
「——つまり、必要なのは〝欲望〟なんですよ」
「……そうか」 -
第1章 11話 白の研究所(ブラン・ラボ) 記事を読むこの国では、闇は最高密度の白だった。
天で編まれた六花はやがて地上に降り注ぎ、希望も絶望もへだてなく染め上げる。それは潔癖な悪魔のごとき白。 -
第1章 12話 時空竜の声 記事を読む天国は、あるのか。
地獄は、あるのか。
惑星クレイにおいて死生観は様々だ。何せ『事実』として幽霊も、降霊術師も、動く死体も、天使も、悪魔 も暮らしている惑星だ。死した魂が目に見える形で身近にあるのだから、死生観が多種多様になるは当然のことと言えるだろう。 -
第1章 13話 世界樹の若芽 ロロワ 記事を読む疲労していた、薄暗い視界の中だった、そんな言い訳は全て無意味だった。
戦いにおいては結果だけがすべてであり、ラディリナは持ちうる力のすべてをその一太刀に込め、上空から落下する勢いのまま、オブスクデイトへと振り下ろした。
しかし——少女の魂を燃やした炎剣は、肉を断つよりも前に火の粉と散った。オブスクデイトの斬撃にて薙ぎ払われたのだ。 -
第1章 14話 世界樹の街 記事を読む夜が燃え尽きていくなかで、聖域は静まり返っていた。
地面から立ちこめた靄が夜露となって、世界樹の葉先で珠となり、星を散らしたように光っている。
地面が揺らいで、ひとしずく落ちた。